2003 Fiscal Year Annual Research Report
カプセル化された有機微結晶の薄膜形成および光デバイスとバイオセンサーへの応用
Project/Area Number |
02J03179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 徳剛 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 斜入射X線回折 / 水面上単分子膜 / サーモクロミズム / J会合体 |
Research Abstract |
有機微結晶(色素J会合体)のイオン組換えによるサーモクロミズムの機構の解明を行うため、SPinrg8(兵庫県)の放射光光源を用い、X線回折実験を実施した。今年度上半期は、色素J会合体作成用の水面上単分子膜作製装置の設計・作製と予備的なX線回折実験とを早稲田大学で行った。サーモクロミズムの観察を行うため、温度制御可能な膜作製装置を自作した。温度制御にはペルチェ素子を用い、短時間で温度の調整を行えるようにした。膜作製装置設計に関する留意点は、SPring8で使用する多軸回折計の動きに支障なく、かつシグナル量を稼ぐために膜面積を大きくする点である。本現象は水面上で起こる現象であるが、予備実験では、膜を固体基板上に積層した試料を用いてX線回折実験を行い、回折パターンの全体像をできるだけ詳細に観察した。下半期では、作製した装置の試運転を行い、可視光吸収帯の温度に対する変化のデータをまとめ、SPring8での実験で最適な試料の条件を吟味した。選考結果により獲得した11月下旬のSPinrg8のマシーンタイムに、自作した膜作製装置を用い、サーモクロミズムのその場観察を行った。測定法は、X線を水面上単分子膜面で全反射するよう入射して、膜面内の周期構造から回折されるX線を観察する方法であり、研究代表者らが過去2年間にわたり測定法の検討をSPring8で行ってきた。実験の結果、膜面内からの回折ピークが温度に対して可逆的に変化すること突き止めた。すなわち、サーモクロミズムが有機微結晶の構造相転移であることを初めて実験的に証明することに成功した。また、それまでの早稲田大学での予備的なX線回折実験ではノイズに隠れ襯察できなかった回折ピークが、鮮明に観察することもできた。年度末には応用物理学会にて得られた成果をまとめて発表する。
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