2002 Fiscal Year Annual Research Report
超離散可積分系を中心とする非線形発展方程式の構造の解明および解法の構築
Project/Area Number |
02J03216
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩尾 昌央 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超離散 / 可積分系 / ハミルトン系 / 離散化 |
Research Abstract |
本年度は本研究の第一段階として、単調関数の性質を応用して対称性の高い時間発展方程式を構成し、それらの方程式の可積分性や超離散化可能性を吟味することを目標に掲げている。この目標を達成するために、まず単調関数に関する多彩な不動点定理を整理することにより、超離散化可能な変換が01行列により統一的に表現できることを見出した。これを応用することにより、低次元での超離散化可能な時間発展方程式を自動生成する計算機プログラムを構成した。こうして得られた一群の方程式に関して数値実験と数式処理による検証によって、可積分性を持つと考えられる方程式を抽出した。これらの方程式に関して超離散化した際の解の振る舞いを調べると、共通構造として扇と呼ばれる幾何学的概念が現れることが観察された。このことから自然にこれらの超離散化された方程式が、「保存量を持ち、相空間の任意領域の体積は写像で不変である」という性質を持つことが導かれた。これにより、超離散化される前段階の方程式たちが、ハミルトンの正準方程式の離散化であるという仮説を立て、実際に自由度1のハミルトン系に関して、一般解を共有する離散化を行うことにより、これらの超離散化可能な方程式を再構成することが可能であることを検証した。実はハミルトン系一般に関するこのような離散化の手法は現在まで全く知られていないものであり、特に超離散化可能なハミルトニン系について適用可能であることは、注目に値すると思われる。以上のように、本年度は十分に成熟した研究成果を得ることが出来たため、結果の一部を3月末に日本物理学会にて報告する。またこれらの成果は論文として現在とりまとめている。
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