2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本における<三国志>言説の享受の様相に関する通史的把握
Project/Area Number |
02J03238
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 尚子 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 和漢比較 / 三国志 / 軍記物語 / 享受史 / 近世日本文学 |
Research Abstract |
平成14年度に口頭発表を行った内容を、「近世前期における<三国志>享受の一齣-『国史館日録』を中心として」」(説話文学研究38号)、「『通俗三国志』試論-軍記の表現の援用とその指向性-」(国文学研究140号)という二本の論文にまとめた。この二本の発表、そして、それ以前に行ってきた一連の研究成果から、日本の中世から近世に至る<三国志>享受史の概観を把捉することが実現したと考える。この成果を図書として公刊するべく、現在その準備を進めているところである。 また、ワルシャワで開催された、The 10th International Conference of European Association for Japanese Studiesに、早稲田大学教授・田中隆昭氏、早稲田大学非常勤講師・菊地真氏、早稲田大学大学院生・河野貴美子氏とともにパネル(="Classical Literature and International Relations in Ancient East-Asia")を組んで参加、和漢比較文学の現在の研究動向を海外へと発信した。本人は、"Comparative study of Gunki monogatari and Sanguozhi yanyi -- with an emphasis on character depiction --"という副題のもとに、『保元物語』・『平治物語』と『三国志演義』における人物描写法について、本文叙述、ならびに挿絵・絵巻といった絵画資料の観点から比較考察を行い、日中の対照的性格を明らかにした。これは、すでに考察済みであるところの『平家物語』・『太平記』と『三国志演義』における人物描写法の比較検討に継続する内容であり、本発表によって、軍記主要四作品における人物描写の様相を系譜的に辿ることができたと思われる。
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