2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J03240
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大西 磨希子 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 仏教美術史 / 観無量寿経 / 十六観 / 敦煌 / 莫高窟 / 浄土教美術 / 道綽 |
Research Abstract |
1.文献研究 前年度に引き続き、『観無量寿経』に関する文献史料および研究論文の検討を行なった。とくに本年度は、道綽について、著書『安楽集』を中心にその思想を調べ、関連資料を収集検討した。中国社会科学院考古研究所に滞在中は、敦煌遺書中の『観無量寿経』について、『大正蔵』本との異同や、敦煌壁画の十六観図との関連を調査した(継続中)。 2.海外調査 11月に敦煌莫高窟において実地調査を行なった。敦煌研究院樊錦詩院長の許可を得て調査した石窟の番号は、113・120・122・123・124・171・176・208・215・218・446(計11窟)。これにより新たに13例の十六観図を調査し、調書と描き起こし図を作成することができた。12月には関連調査として河北南響堂山石窟の西方浄土変と〓城遺址出土石像の調査を行なった。3月には四川臥龍山千仏崖の阿弥陀仏五十菩薩像の調査を予定。 3.現在までに得られた知見 (1)敦煙莫高窟の十六観図は、少なくとも大別して次の三種に分けることができる。(a)『観無量寿経』の経文に忠実なタイプ。(b)十六観図の各図の図様は『観無量寿経』の経文と一致するが、その配列が経文とは異なるタイプ。(c)『観無量寿経』の経文では理解しがたい図像が含まれるタイプ。 (2)特徴的な(c)タイプの作例は、莫高窟の東に位置する楡林窟の西夏の作例にも見出せる(図版のみの観察による)。 (3)これら三種の別が莫高窟盛唐期の作例にみられるとともに、楡林窟西夏期の作例もみられるところから、これらは時代によって変化したものではなく、粉本の別によるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大西 磨希子: "敦煌莫高窟の西方浄土変に描かれた『観無量寿経』モティーフ"南都佛教. 第83号. 62-95 (2003)
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[Publications] 大西 磨希子: "中国河北省南響堂山石窟における西方浄土変の研究"『鹿島美術研究』年報. 第20号別冊. 440-451 (2003)
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[Publications] 大西 磨希子: "初唐期の西方浄土変と『観無量寿経』-敦煌莫高窟の作例をてがかりに-"佛教藝術. 第273号(発行予定). (2004)