2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の運動習慣形成と維持のための介入プログラム開発―行動分析学的見地から―
Project/Area Number |
02J03340
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野 まり子 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高齢者 / 運動習慣 / メンタルヘルス / 行動変容 / 強化システム |
Research Abstract |
本研究は、日常生活の中で慢性的にストレスを抱え,身体能力の衰えに不安を感じている高齢者を対象として,ストレス・マネジメントの1つとしての運動習慣を形成し,維持させることを目指す,適切な介入プログラムを行動分析学的見地から開発することを目的とするものである.そこで初年度は,実験的介入研究に先立ち,以下の2つに関する調査研究を行なった. 1.我が国における高齢者の運動習慣に関する実態調査,およびメンタルヘルスと運動習慣の関係の検証. 首都圏に居住する60歳以上の地域高齢者約1000名を対象に,選択式および自由記述式から成る質問紙調査を実施した.その結果,地域高齢者の「健康に対する意識」「運動やスポーツに対する意識」「過去および現在の運動習慣の実態」を確認し,「運動習慣形成および維持に関連する諸要因」を明らかにした.運動行動の変容には,性別,過去のスポーツ経験やスポーツに対する趣向性,主観的健康度等の要因が関連していることが認められた.また,運動行動の変容段階におけるストレス反応の違いを検討した結果,運動を実施している者(準備期・実行期・維持期)はそうでない者(関心期)に比べて,ストレス反応が低いことが認められ,運動実施がメンタルヘルスに肯定的な影響を及ぼしていることが示唆された. 2.行動分析学的見地から,運動習慣形成およびその維持を促す強化システムを検討. 上述の調査研究の結果を受けて,運動習慣形成・維持の強化子リストを作成した.高齢者を取り巻く環境は特殊であり,運動に対する意識も若年層とは全く異なる.そこで,調査により明らかになった健康や運動に対する意識および関連要因を整理し,行動変容の強化子となりうる刺激を抽出した.現在,その理論的妥当性の検討を進行中.併せて,高齢者用運動アドヒレンス・プログラム試作版の実験計画を進めている.
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