2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J03365
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土屋 俊二 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超流動-絶縁体移転 / スピン自由度のあるBose凝縮体 / even-odd conjecture |
Research Abstract |
近年、磁気トラップされたBose凝縮体をレーザーによるoptical lattice中に閉じ込め、lattice potentialの高さを変化させることにより超流動相とMott絶縁体相の間の相転移が実験的に観測された。磁気トラップ中では原子のスピンは磁場の方向に制限されているが、光学トラップではスピンを制限することなく原子をトラップできるので、これを用いてスピン自由度のあるBose凝縮体の研究が行われている。スピン自由度のあるBose凝縮体は、トポロジカルな励起であるスカーミオンの生成やfragmentation等、磁気トラップにより作られたスピン自由度の無いBose凝縮体とは異なる多様な性質を持つと考えられる。光学トラップを用いた、optical lattice中のspin自由度のある原子系においてどのような超流動-絶縁転移がおこるかは興味深い問題である。本研究ではoptical lattice中における、反強磁性的な相互作用をするスピン-1のbosonの超流動-Mott絶縁体転移について調べた。その結果、Mott絶縁体相は各siteの粒子数が偶数の場合の方が奇数の場合に比べより安定化し、基底状態の相図において絶縁体相の領域が大きくなっていることがわかり、これは偶数の場合には全ての粒子がsinglet pairを組んで安定化することが原因であることがわかった。この"even-odd conjecture"は1次元の反強磁性Heisenberg modelや、Hubbard model、t-J modelの梯子系で研究されているが、我々はこの性質がBose粒子系において超流動-絶縁体転移と関連していることを初めて示した。また、超流動相は、光学トラップ中のBose凝縮体と同様のpolar stateになっていることがわかった。 この結果は、Physical Review A誌に現在投稿中である。
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