2002 Fiscal Year Annual Research Report
認識・機能誘導型微粒子系の構築と人工血小板への応用
Project/Area Number |
02J03366
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺村 裕治 早稲田大学, 理工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルブミン / リン脂質小胞体(リポソーム) / 血小板膜蛋白質 / コラーゲン / 分子集合体 / 人工血小板(血小板代替物) / 人工血液 / 薬物運搬系 |
Research Abstract |
遺伝子組換えヒト血清アルブミンを水中でジスルフィド重合させたアルブミン微粒子あるいはリン脂質小胞体の表面に,血小板膜蛋白質(GPIbα、GPIa/IIa)の遺伝子組換体を結合させ、出血部位認識能を有する人工血小板を展開している。 出血部位で露出するコラーゲンに粘着するフォンビルブランド因子(vWf)を認識するrGPIbαを結合したアルブミン微粒子あるいはリン脂質小胞体を調製し、免疫化学的定量法から一粒子当たりのrGPIbα結合数はおよそ6.0×10^3個であることを確認した。機能評価を行なうために、出血部位モデル基板としてvWf固定化基板を使用し、血液流動下における認識挙動を解析した。rGPIbαを担持したアルブミン重合体と小胞体の粘着挙動は大きく異なり、rGPIbα-アルブミン重合体は、流動直後から基板上のvWfを特異的に認識して、そのまま粘着した。他方rGPIbα-小胞体では、ヒト血小板と同様の挙動を示し、vWf基板へ粘着後、流動方向に沿って基板上を転がって移動した。この移動速度は、小胞体構成二分子膜の膜流動性の低下に伴って増大することが分かり、小胞体と、vWf間の接触面積がrGPIbα-小胞体の移動速度に大きく影響することを明らかにした。この粘着挙動の相違は、担体の剛直性、変形能あるいは膜流動性などの物理化学的性質に起因することを見出した。 また、コラーゲンの受容体であるrGPIa/IIaを担持したアルブミン重合体では、血液流動下におけるコラーゲン基板への特異的粘着が確認でき、特にずり速度の低い領域で粘着能が高かった。動物実験として、血小板数が5分の1に減少しているマウスにrGPIa/IIa-アルブミン重合体を投与したところ、rGPIa/IIaを結合していないアルブミン重合体投与群と比較して、出血時間がおよそ3分の1まで短縮が可能となり、生体内での止血能を確認できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Teramura, Y., et al.: "Roling properties of rGPIbα-conjugated phospholipid vesicles on vWf surface under flow conditions with different membrane fluidity"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 296. 765-770 (2002)
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[Publications] Teramura, Y., et al.: "The effect of encapsulation of Hb with vesicles against H_2O_2 reaction and lipid peroxidation"Bioconjugate Chem.. 13. 1302-1308 (2002)
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[Publications] 寺村 裕治 他: "リポソーム"血液・免疫・腫瘍. (印刷中). (2003)