2004 Fiscal Year Annual Research Report
認識・機能誘導型微粒子系の構築と人工血小板への応用
Project/Area Number |
02J03366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺村 裕治 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 人工血小板 / 一分子計測 / 膜蛋白質 / 人工血液 / 動力学 / 止血能 |
Research Abstract |
遺伝子組換えヒト血清アルブミンを水中でジスルフィド重合させたアルブミン微粒子あるいはリン脂質小胞体(リポソーム)の表面に,血小板膜蛋白質(GPIbα、GPIa/IIa)の遺伝子組換え体(rGPIbα、rGPIa/IIa)あるいはフィブリノーゲン関連ペプチドを結合させ、止血能を有する人工血小板(血小板代替物)の開発から機能評価を展開している。 本年度では、フィブリノーゲンγ鎖アミノ酸配列400-411番目のドデカペプチド(H12)を担持したアルブミン微粒子の止血能に関して、まず流動下において出血部位モデル基板への機能評価(in vitro法)を行い、さらに血小板数減少症ラットを用いた動物実験からその止血能評価を行った。H12担持アルブミン微粒子では、血液流動下において出血部位モデル基板への特異的粘着が確認でき、ずり速度の低い領域で粘着能が高いことを確認した。特に、活性化した血小板と特異的に凝集塊を形成することから、一次止血よりも二次止血を促進することが確認できた。また、H12担持アルブミン微粒子のin vivo系での止血能評価を行なうために、抗癌剤ブスルファンを投与して血小板数を減少させたラット(血小板減少症ラット)を作製し、尻尾切断部位からの出血時間を測定する系(in vivo法)を確立した。正常値のおよそ5分の1に血小板数が減少したラットにH12担持アルブミン微粒子を投与し、尻尾切断部位からの出血時間を測定したところ、H12を担持していないアルブミン微粒子投与群と比較して、出血時間がおよそ2分の1まで最大で短縮することを確認した。投与量の増加に伴い、出血時間が短縮することも確認した。 以上より、認識部位として血小板膜蛋白質やフィブリノーゲン関連ペプチドを利用し、アルブミン微粒子やリポソームを担体とした微粒子は、止血能を有する人工血小板として機能することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)