2002 Fiscal Year Annual Research Report
細菌により誘導される新規リソソーム膜タンパク、SIMPLEの解析
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02J03460
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森脇 康博 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Lysosome / SIMPLE / Nedd4 / Ubiquitin / Protein degradation / DT40 / Neuropathy / Charcot-Marie-Toosh disease |
Research Abstract |
申請者が発見した新規遺伝子SIMPLEは、TNF-αの転写因子として報告されているLITAFおよび、p53によるアポトーシス関連遺伝子であるPIG7と高い相同性を示す。今年度はSIMPLEの上記した機能への関与を明らかにすべく実験を行った。まず、SIMPLEの転写因子としての機能について検討を行った。SIMPLEは2型のlysosome膜タンパクであり、転写因子として機能するためには膜から遊離する必要がある。最近、SIMPLEはUbiquitin ligaseとして報告されているNedd4との相互作用が明らかとなったことから、SIMPLEはNedd4によりubiquitin化されproteasomeによる分解を経て膜から遊離すると考えた。そこで、SIMPLEのI)Nedd4との相互作用II)ubiquitin化III)核移行IV)DNA結合能について検討を行った。結果、SIMPLEとNedd4の相互作用は明らかとなったものの、他の現象を確認することはできなかった。次に、SIMPLEのアポトーシスヘの関与について検討を行った。SIMPLE欠損細胞をDT40細胞を用いることで作製し、野生型DT40細胞とのアポトーシス刺激に対する感受性の差について検討を行った。結果、Lyn依存的経路によりアポトーシス誘導を起こす刺激においてのみ感受性の差を確認することができた。LynはNedd4により分解されることが報告されていることから、SIMPLE欠損細胞のLyn依存的な刺激によるアポトーシスヘの感受性の増大はLynの分解が阻害されたためであると考えており、現在、この点を明らかにすべく実験を行っている。最近、SIMPLEはneuropathyの一つであるCharcot-Marie-Tooth病に関与することが報告された。多くの神経変性疾患は異常タンパクの蓄積により引き起こされる神経細胞のアポトーシスを病因とする。申請者は、SIMPLEがタンパク分解に強く関与しているものと考えており、SIMPLE欠損マウスの作製および、その行動異常等について観察検討する次第である。
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