2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトドーパミントランスポーターの多型の生理的意義と個体における機能の解析
Project/Area Number |
02J03465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福家 聡 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | dopamine transporter / polymorphism / VNTR / yeast one-hybrid system / Hesr1 / bHLH / gene expression / reporter assay |
Research Abstract |
hDATのVNTR多型は、反復回数によってレポーター遺伝子の発現に差があることからも、この領域がhDAT遺伝子発現量に個体差をもたらす可能性が示唆される。 SH-SY5Y、COS-7、Neuro2Aそれぞれの培養細胞において、hDATのコアプロモーターである上流240bpをプロモーター領域に持ち、下流にhDATのexon15(3'UTR)領域を持つルシフェラーゼを発現させたところ、exon15依存的に遺伝子発現が抑制されることを見出した。これはHEK293細胞では見られなかったことから、細胞内環境によってexon15による発現抑制機能が存在することを示唆する。 また、ルシフェラーゼの下流に、それぞれ6、7、9、10、11回の反復回数を含むDAT1遺伝子3'UTRを持ったレポーターコンストラクトを用いて遺伝子発現量を比較したところ、HEK293細胞においては7、9、10回のものが、6、11回のものに比べて有意に高かった。さらに、SH-SY5Yにおいては6、7、9回の反復回数を持つものが、10、11回のものに比べて有意に遺伝子発現量が高かった。先述の抑制と同様、細胞内環境によって、VNTR多型が異なる遺伝子発現調節を行うことが示唆された。 加えて、前年度にVNTR領域に作用する遺伝子として同定したHesr1は、bHLH領域依存的にVNTR領域への影響を持つことがyeast one-hybridシステムにおいて確認された。 培養細胞でHesr1を強制発現させた上で、VNTR多型を持つルシフェラーゼを発現させたところ、Hesr1がレポーター遺伝子の発現を抑えることが解った。興味深いことに、HEK293細胞においては、VNTR多型の反復回数によって生じた差が、Hesr1の発現によって消えることが観察された。 今後は、Hesr1とhDATの遺伝子発現、VNTR多型の機能との関わりを、より詳細に解析する予定である。
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[Publications] 福家 聡, 杉浦 真依, 石浦 章一: "ヒトドーパミントランスポーター(DAT)遺伝子のVNTR多型が遺伝子発現に与える影響"第26回日本分子生物学会年会.
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[Publications] 杉浦 真依, 周防 諭, 福家 聡, 笹川 昇, 石浦 章一: "線虫C.elegansにおけるドーパミン受容体の同定"第26回日本分子生物学会年会.
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[Publications] Shoichi Ishiura, Satoshi Suo, Mai Sugiura, Satoshi_Fuke, Noboru Sasagawa: "Cloning and characterization of C.elegans dopamine receptors."2004年 国立遺伝学研究所研究会「動物行動の遺伝学:モノアミンと行動制御」.