2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J03495
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
粂田 優子 お茶の水女子大学, 理学部, 特別研究員PD
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Keywords | カーボンナノチューブ / 平面波基底 / フラーレン / Stone-Wales転移 / Car-Parrinello法 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究の目的はカーボンナノチューブの成長端にNi等の遷移金属原子を付加させたモデルを想定し、Ni原子の先端移動の様子や、カーボン原子等の付着の様子を観察するものである。これには、遷移状態を求めるプログラムを用いて反応のパスを求めるという作業が必要であるが、本年度は特にこのプログラムを用いた遷移金属の取り扱いおよび、この遷移状態探索のプログラムの構築を行った。昨年度から行っていたフラーレンのStone-Wales転移などに適用した計算は、プログラムの実用性を確かめる十分である満足な結果が得られた。この考察は論文にまとめChem.Phys.Lett.に掲載された。 また、ナノチューブの成長には不可欠と言われている金属の触媒の影響についての考察を行った。 平面波を基底とするCar-Parrinello法のプログラムCPMDの手法を用いて、ナノチューブ大量合成の際に触媒として使われる遷移金属Niについての計算を実行した。まず始めに、Ni金属原子のこのプログラムの擬ポテンシャルの作成を行い、さらにその有効性について調べるために、Ni-Cの結合について、テスト計算としてNi(CO)x分子について結合エネルギーおよびポテンシャルエネルギーの変化などの細密にわたる分析を行った。この結果は現在Chem.Phys.Lett.に投稿するために論文に執筆中である。 さらに平面波基底に基づくCar-Parrinello法のプログラムのさらに改良版であるCP2Kというガウス型の基底と平面波を取り混ぜたプログラムも同時に採用してナノチューブの生成機構の検討を行っている。このプログラムは平面波基底のみのプログラムと比べて、周期的境界条件の基本セルの大きさを拡大しても計算量がセルの大きさに比例して増大しないという利点がある。そのため比較的大きな長さのナノチューブを扱う事ができ、今回のナノチューブの生成機構を探る上で非常に有効である。というのもある程度の長さのチューブ長であると安定した構造であり、成長端の反応に注目した考察ができるからである。現在このプログラムを用いて、分子動力学シミュレーションに取り組み、遷移金属とナノチューブの成長端の反応についての考察を行っている。
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Research Products
(1 results)