2003 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャル大学における効果的な学習-学習継続・成果をもたらす要因の検討-
Project/Area Number |
02J03519
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小林 久美子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員PD
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Keywords | バーチャル大学 / 学習継続 / 能動的な学習 |
Research Abstract |
ここ数年のインターネットの普及に伴い、わが国にもバーチャル大学他、ITを活用した様々な学習が普及してきている。それらは、場所や時間の制約がない自由な学習環境を提供する一方で、学習者のドロップアウト率が高く、学習継続が困難であるなとの報告がなされている(メディア教育開発センター,2000)。本研究では、そうした学習の継続に関わる要因を明らかにするため、以下の調査および実験を行い検討した。 1)能動的な学習経験に関する調査 Web上で行われる学習のような、テキストを読んで問題を解くことを独力で行う学習(能動的な学習)について、その経験と、とくに成果を上げた例および長期的に継続できた例について調べるため、大学生50名に調査を実施し検討した。その結果、約半数の経験者が能動的な学習を経験しており、そのうち成果を挙げた例については9割のケースを、長期間継続できた例については5割のケースが得られた。 2)Web上の学習コースの評価 これまでの調査やインタビューをもとに、学習成果・継続に関わる要因として、課題の量、学習内容、学習の動機付けなどを考慮し、適度な能動性で行えるWeb上の学習コースを設計し、大学生20名に実施して、評価を行った。学習コースは2つ設定され、両コースとも、学習の前に、教授されるのではなく独力で学ぶこと、1週間に一度、全部で5回の課題を解いて送信し、のちに採点結果を知らせるなどについて教示を受けた。1つのグループはさらに採点結果が知らされる際に、他の参加者の採点結果について閲覧できた。両グループに対し、事前事後のテストを実施して比較を行った結果、事後に点数が伸びていることが明らかにされた。また、両群あわせて脱落者は1名であった。さらに、学習の楽しさや継続意向に関しては、両グループとも高い値を示していた。 これらの結果は、今後のWeb上の学習設計において、重要な示唆を与えうるものと思われる。
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