2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J03553
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
千葉 正史 東京都立大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国 / 交通 / 通信 / 鉄道 / 情報 / 近代化 |
Research Abstract |
本年度はまず資料調査として、9月に北京の中国第一歴史档案館において清末時期の交通関連奏摺(上奏文)の調査・収集を行った。本来は年度初頭に予定していたが、SARS流行の影響により延期を余儀なくされ、このため研究計画全体的についても、遅らせざるを得ない結果となった。その上で前年度の台湾故宮博物院による調査の成果とともに、本年度は『宮中档光緒朝奏摺』『光緒朝〓批奏摺』の両種の刊行資料集についても関連する内容の調査を進め、ほぼ清末時期における交通関連の奏摺に関して、その全体的な所在状況の把握を行うことが出来た。これらの各資料群について、各個作成したデータ目録をもとに、現在は総合データベースとして統合・整理する作業を進めている。一方、近代中国運輸通信ネットワーク基本情報図については、その作成に使用するソフトAutoCADを購入したが、作業の前提となる資料の整理について、上述のような理由により遅れを生じたため、本年度は本格的に作業に着手するには至らなかった。一方、国内においては3月に大分大学経済学部で所蔵する近代中国の交通問題に関連した戦前期の文献を調査した。研究成果の発表については、清末時期の鉄道建設の展開過程に関して、包括的に再検討を行った論文「清末鉄道史再考-国家体制の変容と鉄道建設論の推移-」を発表した。専制国家体制から国民国家体制への移行という清末における政治体制の一大変革過程の中で鉄道建設が果たした役割を位置付け、本研究の課題である近代中国における交通体系の再編と国家体制の変容に関して、基本となる見解を示した。
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