2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ革新主義期におけるジョン・デューイの個性論の形成と展開
Project/Area Number |
02J03558
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Research Fellow |
古屋 恵太 東京都立大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジョン・デューイ / 個性 / 革新主義期 / アプロプリエーション / ポストモダニズム / 社会的構成主義 |
Research Abstract |
前期には、秋の学会(教育哲学会)に向けて資料収集を行い、デューイの「個性」(individuality)概念の現代的意義を、ポストモダニズムの美学との関わりで考察した。これはデューイの個性論が独創か借用か、個性か複製かといった二項対立を無効化するポストモダニズムの美学と共振する戦略であることを検証する試みであった。そして、その戦略的装置として、「アプロプリエーション」という概念と実践が研究の視座として新たに導入された。その成果が、平成14年10月20日の教育哲学会第45回大会一般研究発表における報告「アプロプリエーション(appropriation)と個性論-ポストモダニズムの中のデューイ-」である。さらに、この報告原稿を投稿論文原稿に高めるために、後期に入り、平成14年12月7日の日本デューイ学会東京地区研究談話会において「アプロプリエーション(appropriation)とデューイの美学-ポストモダニズム以降の個性論をめぐって-」と題した報告を行った。なお、他方で、後期には、心理学の領域において「アプロプリエーション」の概念と実践を検討している「社会的構成主義」(social constructivism)の潮流を検討した。ここで「アプロプリエーション」の概念は、ソビエト・ロシアの活動理論の心理学者が提示したものとされている。このことは、20世紀初頭から登場したソビエト・ロシアの心理学とアメリカのプラグマティズムの哲学が、従来の解釈とは異なり、共通性を有していることを示唆しており、思想史的にも重要な発見を含むものと期待される。この研究の成果は、平成15年3月26日に神戸国際会議場で開催される日本発達心理学会第14同大会のラウンドテーブル「エリ・エス・ヴィゴツキイとジョン・デューイ-ヴィゴツキイ・シンポ(14)-」において発表される予定である。
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