2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J03626
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
遠山 真世 東京都立大学, 大学院・社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 障害者 / 労働市場 / 機会均等 / 社会モデル / 能力主義 / 差別禁止 / 割当雇用 / 保護雇用 |
Research Abstract |
当初瀞章害者-健常者間の就業格差の国際比較を予定していたが、近年の障害研究にみられる立場の対立や矛盾に気づき、問題や政策に関する分析をさらに深める必要があると考えるに至った。そこで本年度は、障害理論やジェンダー問題、差別問題等に関する国内外の文献を参照し、障害者の就業問題と雇用政策について理論的検討を行い、次の成果を得た。 1.現在の障害理論の主流である社会モデルの限界と矛盾が明らかになるとともに、障害者の労働能力をどう解釈するかによって障害者問題への対応の仕方も異なってくることが示された。社会モデルは障害者の能力の社会的・属性的側面を見過ごし、その結果、労働市場からの排除や不利益の問題は個人に帰責される。しかし、障害者の能力のそうした側面を認識すればそれらの問題に対して何らかにの社会的対応が必要といえる。そして、議論の焦点は、能力が低い者の排除を正当とするか能力に応じた就業を求めるかの対立から、労働市場への参入のための策を講じるか、所得保障等により労働市場の外で補償するかという政策的選択へと移行することになる。 2.こうした議論を基盤とし障害者雇用政策を再評価した結果、従来相反する理論的根拠をもつと考えられてきた3つの施策が、一つの理論枠組のもとに包摂される可能性が示された。社会モデルにおいては差別禁止法が唯一適正な施策とみなされる一方で、割当雇用や保護雇用は障害者を優遇するものとして批判されてきた。しかし、障害者の能力不足の問題への対応の必要性を根拠とすれば、後の2つの施策も正当性をもつといえ、残る論点はそれらの実施のシステムおよびコスト負担の配分ということになるだろう。これらの研究成果をもとに、本年度は第75回日本社会学会大会において発表を行った。また現在は、社会政策研究ネットワーク機関誌『社会政策研究』第4号へ投稿する論文を執筆中である。
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