2002 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの葉におけるアブシジン酸生合成部位の特定
Project/Area Number |
02J03647
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小岩井 花恵 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / アルデヒド酸化酵素 / アブシジン酸 / アブシジンアルデヒド / 孔辺細胞 / 維管束 / 乾燥耐性 / 抗体染色 |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)は植物の葉において主に気孔の閉鎖や乾燥耐性遺伝子の発現を調節し、乾燥耐性の付与に重要な役割を果たしている植物ホルモンである。ABAの合成やシグナル伝達に関する研究は近年精力的になされているが、未だにABAがどこで合成されているのかという疑問に対し、はっきりした答えは得られていない。本研究は少なくとも葉におけるABA生合成の最終段階の反応であるアブシジンアルデヒドからアブシジン酸への酸化反応に関与していると考えられるAAO3遺伝子に注目し、その組織や細胞における発現を調べることによって葉の特定の組織や細胞におけるABAの合成や、その調節について検討してきた。 本年度はAAO3プロモーター支配下でAAO3-GFP融合タンパク質を発現するような遺伝子導入植物を用いたAAO3タンパク質の発現部位の解析を行い、根、葉の葉脈孔辺細胞にAAO3タンパクが存在することを明らかにした。さらにAAO3タンパク質のより正確な存在部位を明らかにするために精製AAO3タンパク質を用いたモノクローナルおよびポリクローナル抗体の作成を行った。得られたAAO3特異抗体を用いて抗体染色を行った結果AAO3タンパクは葉の維管束の節部伴細胞および木部柔細胞と思われる細胞に多く存在する事が明らかになり、さらに孔辺細胞にも有意に存在することが明らかになった。 以上の結果よりアブシジン酸生合成の少なくとも後期に行われる反応は維管束組織で行われる可能性が示され、さらにABAの作用点の一つである孔辺細胞においてもABA生合成が行われる可能性も示された。
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