2003 Fiscal Year Annual Research Report
デジェネリンファミリーに属する新規遺伝子のクローニングおよび機能解析
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02J03684
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山村 寿男 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナトリウムチャネル / 上皮型ナトリウムチャネル / アミロライド / 水素イオン / ヒト / 脳 / 分子生物学 / 電気生理学 |
Research Abstract |
デジェネリン遺伝子ファミリーは陽イオンチャネルの特徴を示し、線虫からヒトに至るまで幅広い種間で保存された領域を有している。その機能は、機械受容・ペプチド感受性チャネル・プロトンチャネル・酸味受容体・アシドーシスにおける痛覚受容など多岐にわたる。このファミリーに属するアミロライド感受性上皮型Na^+チャネル(ENaC)として4種類のサブユニット(α、β、γ、δ)が同定されているが、中枢神経型ENaCδの機能は不明である。現在のところ、ENaCδ遺伝子はヒトおよびチンパンジーでしか見出されていないため、進化の過程において霊長類のみが獲得した稀有な遺伝子である可能性が高い。そこで、本年度は、前年度にヒト脳から単離したENaCδの全長クローンを使用して、その生理的機能および組織発現分布の解析を目標とした。ヒトENaCδをアフリカツメガエル卵母細胞や哺乳類培養細胞に発現させると、細胞外pHの低下によって、アミロライド感受性のENaCδ電流が惹起された。また、酸性phによって誘発されたヒトENaCδ電流の不活性化は、他のデジェネリン遺伝子ファミリーの特徴とは、乖離していたので、さらなる解析は、このファミリーの活性化・不活性化機構の解明に有益であると考えられる。さらに、RNAドットブロット法とノザンハイブリダイゼーション法の解析により、ENaCδは、小脳や海馬等を含めたヒト脳に広く分布し、心臓・腎臓・膵臓にも高発現していることが確認された。ENaCδ活性がプロトンによって制御され、ヒト脳に広く分布していたので、ENaCδが脳内のpH感受性やpH制御に重要な働きをしていると推測される。 [学会発表(予定を含む)] 第26回 日本神経科学大会(2003年7月、名古屋) 第4回 ORIGIN神経科学研究会(2003年7月、大阪) 第77回 日本薬理学会年会(2004年3月、大阪) 第124回 日本薬学会年会(2004年3月、大阪) 第81回 日本生理学会大会(2004年6月、札幌)
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[Publications] Yamamura H et al.: "Protons activate the δ-subunit of the epithelial Na^+ channel in humans"Journal of Biological Chemistry. in press.
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[Publications] Murakami M et al.: "Modified cardiovascular L-type channels in mice lacking the voltage-dependent Ca^<2+> channelβ3 subunit"Journal of Biological Chemistry. 278(44). 43261-43267 (2003)
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[Publications] Ueda T et al.: "Functional interaction between T2R taste receptors and G-protein α subunits expressed in taste receptor cells"Journal of Neuroscience. 23(19). 7376-7380 (2003)