2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本古典建築書「道具雛形」の設計論および歴史的特質に関する研究
Project/Area Number |
02J03693
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高木 恵子 (永田 恵子) 名古屋工業大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本古典建築書 / 道具雛形 / 調度 / 室礼 / 設計 / 礼法 / 座敷飾 / 歴史的変遷 |
Research Abstract |
日本近世以前の家具・調度・小道具など[道具]に関する日本古典建築書[道具雛形](計93点)は、礼法書系道具雛形(53点)と建築書系道具雛形(40点)に大別して捉えられる。[道具]の語の原意には「礼」の意識が含まれており、古来の儀式の場における礼意表現の必要から、礼法書系道具雛形は建築書系道具雛形よりその成立起源が古くに遡る。そこで本年度は、礼法を著述概念とする礼法書系道具雛形を対象として、書誌的な類型に基づき記述内容の詳細な分析を行った。 その結果、礼法書系道具雛形では公家故実書が武家故実書に先行して成立しており、とくに室内で用いる内道具に関しては、公家故実書・武家故実書とも典型的な記述内容についていわゆる「型」が認められることを明らかにした。その「型」についてみると、武家故実書の内道具の「型」には、公家故実書からの影響があることから、礼法書系道具雛形全体の基本内容は平安時代の公家故実にその起源があることを確認した。 また、武家故実書についてみると、武具を中心とする外道具に関する書は、他の武家故実書と比較して成立時期が早いが史料数は多くはない一方で、内道具の書は、室町時代中期以降に史料数が増加しており、その記述内容を分析すると座敷飾等の室礼をはじめ各道具の詳細、室内での立居振舞の作法、婚礼の心得など広範囲にわたり、史料ごとの記述量も大きくなっていることを明らかにした。 加えて、礼法書系道具雛形における「大道具」「小道具」の語義に着目して考察した結果、「小道具」の語には、道具そのものを表す用法とともに、箱・櫃などに収める収容物一式の意味があることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 永田 恵子: "建築書系道具雛形の設計学理-道具設計における寸法体系-"日本建築学会計画系論文集. 557号. 305-310 (2002)
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[Publications] 永田 恵子: "礼法書系道具雛形における「大道具」「小道具」の概念-「婚礼大道具」・「御厨子黒棚寸法」を主な対象とした一考察-"日本建築学会2002年度大会学術講演梗概集. F-2巻. 213-214 (2002)
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[Publications] 永田 恵子: "建築書系道具雛形における<まな板>の設計論"日本産業技術史学会第18回年会講演概要集. 9-12 (2002)