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2002 Fiscal Year Annual Research Report

ヒドロキサム酸型人工シデロフォアを用いた微生物鉄捕捉輸送システムの解明

Research Project

Project/Area Number 02J03698
Research InstitutionNagoya Institute of Technology

Principal Investigator

松本 健司  名古屋工業大学, 工学部, 特別研究員(PD)

Keywordsシデロフォア / 鉄(III)錯体 / ヒドロキサム酸 / 鉄輸送 / 分子内水素結合ネットワーク
Research Abstract

分子内水素結合ネットワークを有する人工シデロフォアを種々合成し、それらの生理活性をシデロフォア非産出菌を用いて検討したところ、本研究で合成した人工シデロフォア類は全て、用いたシデロフォア非産出菌に対する鉄捕捉輸送化合物として機能し、その活性の強さは天然シデロフォアと同程度であることが明らかとなった。
次に、光学活性なアミノ酸残基を有する人工シデロフォアの合成を行い、鉄錯体の絶対配置の違いが及ぼす生理活性能に与える影響について検討を行ったところ、用いた菌体の生長に差は生じなかった。これは、天然のシデロフォアの鉄錯体がその絶対配置の違いによって取り込みに差が見られることと異なる結果であり、本研究で合成した人工シデロフォアによる鉄輸送は、錯体構造を認識して取り込む既知の鉄摂取機構とは異なる経路によって行われていることが示唆された。
そこで本研究における人工シデロフォアの鉄(III)錯体は天然よりも還元されやすい特徴を持つことから、錯体の酸化還元電位が菌の生長に及ぼす影響を調べるため、鉄(II)キレート剤共存下におけるシデロフォア非産出菌の生長実験を試みた。その結果、人工シデロフォア類では、著しく菌の生長が抑制されたのに対し、天然シデロフォアでは、鉄(II)キレート剤非共存下と同様の生長が見られた。このことは、本研究で合成した人工シデロフォアの鉄(III)錯体は、細胞外で還元され、鉄(II)イオンのみが細胞膜を透過していることを示唆しており、この菌体が既知の取込み機構だけでなく、錯体の酸化還元電位に依存した別の鉄摂取機構を有していることが新たに判明した
以上の結果より、本研究で合成した人工シデロフォア類は、微生物の鉄輸送機構を調べるための新たなプローブとして利用可能であり、それらを用いることで、今までに知られていなかった鉄輸送機構についての知見を得ることに成功した。

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Published: 2004-03-26   Modified: 2016-04-21  

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