2002 Fiscal Year Annual Research Report
環状オニウム塩生成を推進力とするタンデムマイケル-アルドール反応の開発
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02J03824
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木下 博紀 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンデム反応 / マイケル付加 / アルドール反応 / 森田-ベイリス-ヒルマン反応 / カルコゲニド / 活性アルケン / 活性アルキン / カルボニル化合物 |
Research Abstract |
森田-ベイリスーヒルマン反応は、3級アミンやホスフィン触媒下、活性アルケンとアルデヒドから、アリルアルコールを与える反応として知られている。しかし、本反応に求電子剤としてCF_3基などで活性化されていないケトンを用いると反応は進行せず、反応を進行させるには、高圧化反応を行わなければならない。一方、我々は、スルフィドの6-endo-trig環化を利用したカルコゲノ-森田-ベイリスーヒルマン反応の開発に成功した。そこで、CF_3基などで活性化されていないケトンを用いて本反応を行ったところ、O℃、30分という緩和な条件で低〜中程度の収率で付加体が得られた。また、エノール化するジケトンやケトエステルを用いて従来の森田-ベイリスーヒルマン反応を行うと付加体が低収率でしか得られないことが報告されている。そこで、エノール化するジケトンやケトエステルを用いて反応を行ったところ、中〜高収率で付加体を得ることに成功した。 また、活性アルケンの代わりに活性アルキンを用いて反応を行うと、6-endo-digと5-exo-dig環化の2通りが考えられる。環化に関する一般則としてBaldwin則が知られているが、セレンや硫黄などの第3周期以降の元素はこの法則の対象外とされており、その選択性に興味がもたれる。そこで、スルフィドやセンニドを有する活性アルキンを合成し、アルデヒドとの反応を行った。その結果、6-endo-dig環化が選択的に進行し、引き続いてアルデヒドとのアルドール反応が進行することが明らかとなった。カルコゲン原子上のメチル基が容易に脱離するため、カルコゲノニウム塩は得られず、カルコゲン原子上のメチル基が脱離した3-ヒドロキシアルキルカルコゲノクロメン-4-オンが中程度の収率で得られた。2位に置換基のないカルコゲノクロメン-4-オンの3位を選択的に修飾することが困難なことから、本反応は、2位に置換基のない3-ヒドロキシアルキルカルコゲノクロメン-4-オンを合成する方法として有用である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kataoka, T., Kinoshita, H., Kinoshita, S., Iwamura, T.: "The chalcogeno-Baylis-Hillman reaction of ketones and α-dicarbonyl compounds"J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1. 18. 2043-2045 (2002)
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[Publications] Kataoka, T., Kinoshita, H., Kinoshita, S., Iwamura, T.: "Tandem Michael-aldol reaction via 6-endo-dig cyclization of ynone-chalcogenide : synthesis of 2-unsubstituted 3-(hydroxyalkyl) chalcogenochromen-4-ones"Tetrahedron Letters. 43・49. 7039-7041 (2002)