2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋地殻玄武岩の付加様式の多様性と高圧変成緑色岩の上昇テクトニクス
Project/Area Number |
02J03900
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
植田 勇人 北海道大学, 理学研究科, COE研究員
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Keywords | テクトニクス / 付加体 / 前弧海盆 / 高圧変成岩上昇 / エクロジャイト / 北海道 / 白亜紀 / 伊豆小笠原弧 |
Research Abstract |
中央北海道の白亜紀付加体であるイドンナップ帯と神居古潭帯,および伊豆小笠原弧大町海山の蛇紋岩メランジについて,多様な苦鉄質岩類の産状と岩石学的特徴からそれらの起源と付加-上昇過程を復元した. イドンナップ帯奥新冠地域の緑色岩類は,島弧型の玄武岩〜安山岩質火山岩および深成岩類で構成され,同質の礫岩を経てチャートに覆われる層序を有する.これらの特徴は,海洋性島弧の背弧拡大によって形成された残存島弧と一致する.海洋性残存島弧を起源とする付加体は世界初の報告であり,Ueda & Miyashita(2003),植田・宮下(2003),Ueda(2003)で報告したほか,現在国際誌に投稿準備中である. 神居古潭帯南部の三石-静内地域については,変成圧力が逆転したパイルナップ構造から累進的な底付け付加による前期白亜紀高圧変成付加体の上昇が推定され,Ueda(in press)で報告した.変成岩上昇に伴う上盤地殻除去の様式を知るため,2004年度に新たに春別川地域の地質図作成と前期白亜紀後半の不整合周辺の岩相層序記載を行った.その結果,元来高圧変成付加体緑色岩を覆って変成作用の荷重となっていたと推定される空知層群が小規模なクリッペとして残っており,前期白亜紀後半の前弧海盆堆積物(蝦夷累層群)は高圧変成付加体とクリッペを傾斜不整合で覆うことが判明した.より海溝側であったイドンナップ帯では空知層群から前弧海盆堆積物への整合的な一連の層序が保存されていることから,高圧変成付加体の上昇に伴って空知層群+蝦夷累層群の前弧上部地殻が海溝側にずり落ちるテクトニクスが推定される.現在変形作用の解析からこの作業仮説を検証中である. 伊豆小笠原弧大町海山の蛇紋岩分布域から2001年に採取された角閃岩類について岩石学的検討を行ったところ,早期のエクロジャイト相で形成された微細包有物が後期の角閃岩相変成鉱物中に包有されている産状が発見された.海洋底からのエクロジャイト相変成岩の産出は世界初であり,Ueda et al.(2004)で報告したほか,より詳細な記載とテクトニクスについて投稿を予定している,
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Research Products
(5 results)