2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の原因遺伝子aprataxinの生理機能の解析
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02J03930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊達 英俊 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経変性疾患 / 一本鎖DNA修復 / aprataxin |
Research Abstract |
申請者は、神経変性疾患EAOHの原因遺伝子aprataxinを同定した。aprataxinは342アミノ酸からなるタンパク質(LAPTX)と168アミノ酸のタンパク質(SAPTX)を主に発現する。 C末端を認識するペプチド抗体を作成し、ウエスタンブロットによりアプラタキシンを確認したところ、39kDaと20kDaにシグナルが認められた。aprataxinのペプチド配列より、LAPTXには核移行シグナルを有することが予測され、細胞免疫染色と核分画によるウエスタンブロットにより、aprataxin(LAPTX)が核タンパク質であることが確認できた。またその核移行シグナルを欠損させた発現コンストラクトを用いると核移行を阻害することを細胞免疫染色により確認した。一方、SAPTXは細胞質に局在することを確認した。 aprataxinと相互作用するタンパク質を検索するにあたり、Yeast Two-hybrid screeningを行った。aprataxinは一本鎖DNA修復関連遺伝子であるXRCC1と相互作用を有することが判明した。また、DNA修復に関連していると思われている遺伝子PARPとも複合体を形成していることが、免疫沈降法の結果より判明した。aprataxinとXRCC1の関係は、詳細な解析により、aprataxinのN末のFHAドメインがXRCC1のC末のBRCTドメインに直接結合していることが判明した。 aprataxinがXRCC1と一本鎖DNA修復を行っていると仮定し、in vitroでのDNA再合成実験を行った。一般的に一本鎖DNA修復を行う際、XRCC1,pol-beta,LigIII,PNKPにより、DNA修復が完了する。この反応系にaprataxinを混入するとDNA修復の速度が早くなることが確認できた。このことより、aprataxinが一本鎖DNA修復に関与していることが示唆された。 今後はDNA修復における、aprataxinの一本鎖DNA修復機構でのaprataxinの機能を詳細に解析し、EAOH患者の治療に結びつけたい。
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Research Products
(3 results)