2002 Fiscal Year Annual Research Report
効率性の追求を意図した多官能性カロテノイド新規合成法の開拓
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02J03956
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
古市 紀之 関西学院大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多官能性カロテノイド / 新規合成戦略 / Peridinin / Shaprless不斉エポキシ化 / Pd触媒クロスカップリング / 改良Julia-Kocienski反応 / Pd触媒Dominoイリデンブデノリド環構築反応 / 光学活性epoxyaldehyde誘導体 |
Research Abstract |
1950年β-Caroteneの最初の合成に始まり、これまでに約250種類以上のカロテノイドの合成が達成されたにもかかわらず、多官能性カロテノイドの合成における立体化学の制御はこれまで殆ど実現されておらず、解決すべき大きな課題として残されていた。 このような背景のもと、著者は数多く存在するカロテノイドの中でも非常にユニークな構造を持つPeridininをターゲットとし、その全合成を目指し検討を行った。その結果、近年目覚ましい進歩を遂げたパラジウムによる触媒反応の新たな利用法を開拓すると共に、これまで研究室で蓄積した独自の方法を利用することにより、効率よく非常に高い選択性で望むPeridininの合成を実現した^1。すなわち、厳密な条件を必要とするSharpless不斉エポキシ化の実現により、カロテノイド及び関連化合物の合成では始めての例となるシクロヘキサン環上酸素官能基の立体化学の制御に成功した。続いて、Pd触媒クロスカップリング、改良Julia-Kocienski反応による共役炭素鎖の伸長、さらにPd触媒Domino、あるいはOne-Pot反応でのイリデンブテノリド環構築反応を新たに開発し、これらを鍵反応としてPeridininに存在する6つの不斉炭素、7つのオレフィンの立体化学を高度に制御し、その全合成を達成した。この全合成の達成により、Sharpless不斉エポキシ化、Pd触媒クロスカップリング、そして改良Julia-Kocienski反応を基盤とする多官能性カロテノイドに対する新規合成戦略を提案した。 また、この過程で得られた光学活性epoxyaldehyde誘導体の合成的展開として、天然から広く見出され、その興味深い生物活性によって注目されるカロテノイドの酸化代謝テルペノイドの合成を検討した。牧草の香気成分であり、植物の生長抑制作用を有する(-)-Loliolide、植物ホルモンであるAbscisic Acidの生合成前駆体(-)-Xanthoxin、及びそれらの全立体異性体の立体選択的合成に成功した^2。 1. Furuichi, N.; Hara, H.; Osaki, T.; Mori, H.;Katsumura, S. Angrew.Chem.Int.Ed.2002,41,1023. 2. Kuba, M.; Furuichi, N.; Katsumura, S. Chem.Lett.2002,1248.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Furuichi, N., Hara, H., Osaki, T., Mori, H., Katsumura, S.: "Highly Efficient Stereocontrolled Total Synthesis of the Polyfunctional Carotenoid, Peridinin"Angewandte Chemie International Edition. 41. 1023-1026 (2002)
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[Publications] Kuba, M., Furuichi, N., Katsumura, S.: "Stereocontrolled Synthesis of Carotenoid Oxidative Metabolites, (-)-Loliolide, (-)-Xanthoxin, and Their Stereoisomers"Chemistry Letters. 1248-1249 (2002)