2004 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体とチャネルの共存とその機能的意義
Project/Area Number |
02J03975
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
時田 美和子 (馬杉 美和子) 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / フリーズフラクチャー / 小脳 / シナプス / 視機性眼球反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は膜上機能分子の共存を同定し、活性に依存した動態変化と機能的意義を明らかにすることである。そのためには、膜上分子を特異的に免疫標識し、高分解能で観察することが必須である。そこで試料をフリーズフラクチャーし、膜上分子を免疫標識するSDS-FRL法を用いた。当初代謝型グルタミン酸受容体に注目すると申請したが、スクリーニングの過程でAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)における興味深い知見を見いだしたのでそれについて報告する。 小脳平行繊維(PF)-Purkinje細胞(PC)のシナプスは小脳の可塑性に重要な役割を果たしている。PF-PCのシナプス伝達は主にAMPARを介して行われている。そこで、AMPARのシナプス単位面積における発現密度および局在をSDS-FRL法によって解析した。成獣ラットのPF-PCシナプスにおいて、AMPARの密度はシナプスによって大きく異なっていた。一方登上線維-PCにおけるAMPARの密度は均一であった。また、PF-介在ニューロンシナプスにおけるAMPARの密度も均一であった。一方で登上線維-PCシナプスおよびPF-介在ニューロンシナプスにおけるAMPARの発現は一様であった。これらは入力および受けての細胞によりAMPARの発現の特異的な調節が行われていることを示唆する。 次にこのAMPARの発現の運動学習による変化の有無を確かめるために、成獣マウスを用いて視機性眼球反応の学習を行った。視機性眼球反応には小脳片葉が深く関わることが知られているため、この部位におけるPF-PCのAMPAR密度を解析したところ、対象群と比べて優位にAMPAR密度の減少が観察された。これは、生体での生理的刺激による学習にAMPAR密度の変化が関与することを示すものである。
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