2002 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体とチャネルの共存とその機能的意義
Project/Area Number |
02J03975
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
時田 美和子 (馬杉 美和子) 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / フリーズフラクチャー / 小脳 / シナプス |
Research Abstract |
本研究の目的は膜上機能分子の共存を同定し、活性に依存した動態変化と機能的意義を明らかにすることである。そのためには、膜上分子を特異的に免疫標識し、高分解能で観察することが必須である。そこで試料をフリーズフラクチャーし、膜上分子を免疫標識するSDS-FRL法を用いた。当初代謝型グルタミン酸受容体に注目すると申請したが、スクリーニングの過程でAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)における興味深い知見を見いだしたのでそれについて報告する。 SDS-FRL法は、従来の電子顕微鏡法の欠点(膜の断面を一次元的にしか観察できず、免疫標識効率が低い)を克服するものであるが、レプリカで観察される構造の同定法が、まだ確立されていない。従って、従来の超薄切片による電子顕微鏡像における構造と、レプリカ上での構造との、対応関係を明らかにすることは最重要課題である。そこでフラクチャーした試料の電顕断層撮影および立体再構築を、トモグラフィー電子顕微鏡を用いて行った。SDS-FRLによって特異的な構造の上に(膜内粒子の凝集)AMPARに対する標識が観察されたが、この特異的な構造が確かにシナプス後膜の構造であることが明らかになった。 小脳平行繊維(PF)-Purkinje細胞(PC)のシナプスは小脳の可塑性に重要な役割を果たしている。PF-PCのシナプス伝達は主にAMPARを介して行われている。そこで、AMPARのシナプス単位面積における発現密度および局在をSDS-FRL法によって解析した。成獣ラットのPF-PCにおいて、AMPARの密度はシナプスによって大きく異なっていた。一方登上線維-PCにおけるAMPARの密度は均一であった。また、PF-PCシナプス内においてAMPARの発現は一様ではなく、いくつかのクラスターを形成していた。これはシナプス内のコンパートメントの存在を示唆するものである。
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