2004 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体の局在とその機能的意義の解析
Project/Area Number |
02J03976
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
篠原 良章 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系・特別研究系(PD)
|
Keywords | グルタミン酸受容体 / 海馬 / 中枢神経系 / マウス |
Research Abstract |
代謝型グルタミン酸受容体のうち、プレシナプスの側にあるmGluR7は海馬では錐体細胞で発現しているが、この細胞の伸ばす軸索終末のポストシナプス側の細胞の種類によって、プレシナプスの末端にmGluR7が集積したり、しなかったりする。錐体細胞の同じ軸索が錐体細胞とソマトスタチン陽性の介在ニューロンとの両方にシナプスを作っている場合、錐体細胞側のシナプス終末にはmGluR7は集まってこないが、介在ニューロン側にはmGluR7は集まってくる。つまり、シナプスのポスト側からプレ側になんらかの情報がもたらされ、それでmGluR7を運ぶ機構があると考えられる。そこで、mGluR7をGFPと融合した分子を作成し、錐体細胞のみにmGluR7を発現するトランスジェニックマウスを作ることでこの分子の局在を観察したが、標識分子が過剰発現してしまい、錐体細胞の広い範囲にこの分子が広がってしまった。 そこで、代謝型グルタミン酸受容体の海馬での左右の分布に焦点を当てることにした。海馬のグルタミン酸受容体のうち、イオン透過型の分子であるNMDA受容体は、海馬の左右で局在が異なることが代表者たちによって昨年度示された。更に、この左右の局在の差は、NMDA受容体のサブユニットによっても異なり、NR2Bサブユニットでは左右の分布に差があるが、他のNR2AサブユニットやNR1サブユニットでは差がないことが判明した。そこで、海馬の存在する代謝型グルタミン酸受容体でもこのサブユニットごとの局在差がないかどうか検討している。
|