2002 Fiscal Year Annual Research Report
眼の形成における新規短鎖デヒドロゲナーゼ/リダクターゼの役割
Project/Area Number |
02J03991
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
鈴木 亮子 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | レチノイン酸 / レチノール / short-chain dehydrogenase / reductase / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
レチノイン酸は、眼の形成に必須であることが示唆さているが、この合成に関わる酵素については十分明らかにされていない。レチノイン酸の合成は、レチノール(ビタミンA)がレチノールへと酸化される過程と、レチノールがレチノイン酸へと酸化される過程の2段階に分けられる。Restriction Landmark cDNA Scanning(RLCS)法を用いて孵卵8日目のニワトリ胚の網膜より単離・同定したRetinaldehyde dehydrogenase 3(RALDH3)は、眼の発生段階で第二過程の反応に関わることが明らかになったが、第一過程の合成に関わる酵素は未だ報告されていない。RLCS法によって同時に得られた新規chick short-chain dehydrogenase/reductase(cSDR)は、一次構造および発生初期の眼における発現パターンから第一過程の合成に関わる候補分子であると推測された。そこで、高速液体クロマトグラフィーおよびレチノイン酸に応答性を示すレポーター細胞を用いてその酵素活性を調べた。結果、cSDRはコントロールと比較して有意な活性を示さず、レチノールを基質にしない可能性が高いことが示唆された。この結果を受け、新たにニワトリ胚(stage10)の眼胞からcDNAを合成し、degenerated PCR法を用いて目的の酵素の単離・同定を行った。得られた酵素は322個のアミノ酸から成り、retinol dehydrogenaseのグループと高い相同性を示すが、レチノールに対する活性は検出されていない。今後は、expression cloning法を用いてレチノールをレチナールに変換する酵素の単離・同定を行うことを計画している。
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