2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物ペルオキシソーム機能獲得におけるタンパク質輸送複合体の解析
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02J04011
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
二藤 和昌 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ペルオキシソーム / シロイヌナズナ / タンパク質輸送 / ペルオキシン / RNAi / オルガネラ分化 / GFP / トランスジェニック植物 |
Research Abstract |
シロイヌナズナゲノムにはペルオキシソーム形成因子であるPEXが15種21個予測されているが、そのほとんどについてペルオキシソーム形成に関与するという証明は未だなされていない。そこでRNAiを用いてPEXの遺伝子発現を低下させたトランスジェニック植物(iPEX line)をすべてのPEXについて作成し、その表現型解析から各PEXの機能を同定しようと試みた。 その結果、これらiPEX lineのうちiPEX1、2、4、6、10、12、13ではペルオキシソームのマトリクスタンパク質が輸送されずに細胞質に検出されたことから、これらのPEXがペルオキシソーム形成に何らかの役割を担っていることが証明された。また、大変興味深いことにiPEX16、19.1、19.2では、野性型に比べて直径で6〜12倍もの巨大なペルオキシソームが、iPEX3.1,3.2(double RNAi)では20μmにも達する長いペルオキシソームが観察された。このような表現型は他生物種のペルオキシソーム研究においては一切報告されておらず、植物固有の現象として注目している。これらとは対照的に、iPEX17は全く異常な表現が観察されなかったことから、PEX17と呼ばれている遺伝子がPEXとして機能する可能性は低いと判断した。 一方、PEX2、10、16に関しては以前のknockout変異体の解析から、mutantホモの個体は致死の表現型を示すことが知られている。それ故、これまでこれらの変異体ではペルオキシソームやそのマトリクスタンパク質の局在などが一切観察できず、ペルオキシソーム形成に関わるという証明はできないでいた。今回のiPEX lineには完全に致死の表現型を示すものはないことから、植物PEX解析においてknockout変異体のように発現量をゼロにするのではなく低下させることを目的とするRNAiの有用性は高いと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kawada et al.: "Functional deffrentiation of peroxisomes revealed by expression profiles of peroxisomal genes in Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiology. 44. 1275-1289 (2003)
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[Publications] 二藤 和昌: "実験医学増刊 細胞内輸送研究の最前線"羊土社. 7 (2003)