2002 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体とmox1遺伝子による消化管粘膜の自然免疫応答の分子機構
Project/Area Number |
02J04127
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河原 司 徳島大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘリコバクターピロリ菌 / Nox1 / p41nox / 自然免疫 / toll様受容体4 / 胃粘膜 / エンドトキシン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、胃粘膜細胞がgp91^<phox>ホモログ遺伝子であるMox1を酵素本体したO_2^-産生系をもち、I型ヘリコバクターピロリ菌のLPSがToll様受容体4を介してO_2^-産生を約10倍に増加させることを明らかにしてきた。これらの知見をもとに、本研究では、まず、1)胃粘膜細胞に発現するMox1オキシダーゼの新規細胞質成分の同定をおこなった。研究代表者は新たにp47^<phox>, p67^<phox>の各ホモログ遺伝子として、モルモットNOXO1 (p41^<nox>), NOXA1 (p51^<nox>)を同定した。モルモット初代培養胃粘膜上皮細胞はI型ヘリコバクターピロリ菌のLPSによってMox1,及びp41^<nox> mRNA発現が誘導された。一方、p51^<nox>, p67^<nox>,及びp22^<phox>は、構成的に発現しており、LPS刺激によってその発現量は変化しなかった。さらに、このMox1によるO_2^-産生に、Small Gタンパク質の一つであるRac1の活性化が関与していることをはじめて明らかにした。次に2)大腸粘膜細胞に発現すMox1オキシダーゼ構成因子の同定をおこなった。Mox1を最も多く構成的に発現しているのは大腸組織である。しかしながら大腸のMox1活性化に必要な因子やその機構についてはほとんど解明されていない。まず、モルモット大腸組織の免疫染色によって、Mox1が大腸表層粘膜層に強く発現していることをはじめて明らかにした。さらに新たにモルモット初代培養大腸粘膜細胞培養系を確立した。これらは自発的に極めて多量のO_2^-(約160nmol/protein mg/h)を産生し、かつ構成的にMox1, p67^<phox>, Rac1を発現していた。さらにp41^<nox>,及びp51^<nox>を発現していた。一方、ヒト大腸細胞株T84細胞では、O_2^-産生はほとんど検出できなかった。T84細胞は構成的にMox1、p51^<nox>、及びRac1を発現していたが、p41^<nox>を発現していなかった。そこで、p41^<nox>,及びp51^<nox>、またはp67^<phox>を共発現させ、PMA刺激を行うと、O_2^-産生がそれぞれ約10倍に亢進した。これらの結果により研究代表者は、これまでほとんど解明されてなかったMox1によるO_2^-産生の活性化機構を明らかにすることに成功した。さらに消化管における自然免疫応答に、Mox1ならびに新規調節因子p41^<nox>の発現誘導が重要な働きをしている可能性を強く示唆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshida L.: "Expression of a p67-phox homolog in Caco-2 cells giving O_2^--reconstituting ability to cytochrome b558 together with recombinant p47-phox"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 296. 1322-1328 (2002)
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[Publications] 河原 司: "Nox/Duox family"G. I. Research. 10巻6号. 76-77 (2002)
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[Publications] 河原 司: "TECHNICAL TERM 消化管"先端医学社. 330 (2002)