2002 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレーション法によるマイクロアクチュエータ用形状記憶合金薄膜の開発
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02J04155
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 熙重 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マイクロアクチュエータ / 形状記憶合金 / スパッタリング / 形状記憶特性 / Ti-Ni-Cu合金薄膜 / 堆積効率 |
Research Abstract |
次世代のマイクロアクチュエータとして期待されている形状記憶合金の薄膜の開発を目指し、既存の製膜方法として用いられているスパッタリング法にくらべ形状記憶合金の応用にもっとも重要な組成のより精密な制御が可能なレーザーアブレーション法を用いて、最近マイクロアクチュエータ用薄膜としてもっともきたいされているTi-Ni合金薄膜の製造条件を最適化した。最適化された条件でTi-Ni合金薄膜を製造し、薄膜の組成、厚さ、生成相の分析、結晶化温度などを調べた。その結果、真空下においては得られた薄膜の組成がターゲットと基盤との距離に少々違いはあるが、薄膜の組成の制御が難しく、しかも、膜の堆積効率が非常に悪いため、マイクロアクチュエータへの応用が困難であることが判明された。しかしながら、高純度のArを雰囲気ガスとして用いた場合、薄膜の組成の制御が非常に容易になるだけでなく、膜の堆積効率も非常に高くなることが判った。また、基盤温度を室温から873Kまで変えながら製膜した結果、真空下においては773Kの基盤温度で得られた薄膜が結晶化され形状記憶特性を示した。一方、Ar雰囲気下においては真空下で製膜された薄膜より低い基盤温度(673K)で結晶化された。これらの結果はマイクロアクチュエータヘの応用するためには低い温度で結晶化できるAr雰囲気下での製膜が有利であることを示している。以上のTi-Ni2元系合金の製膜条件を基にし、マイクロアクチュエータとして応用するために必要不可欠な条件である小さい変態履歴と大きい変形率を満たすTi-40Ni-10Cu合金の薄膜を製造した。その結果、真空下で得られた薄膜よりAr雰囲気下で得られた薄膜の場合が堆積効率が約2倍ぐらい高くなることが判った。また、基盤とターゲットとの距離が30mmの場合が他の条件よりターゲットと基盤との組成が近かった。また、Ar雰囲気ガスの流量を25^〜200mTorrに変えながら製膜した結果、Arガスの流量による組成の変化はほとんど現れなかった。しかし、Arガスの流量を増やすことによって薄膜の堆積効率は高くなることが判った。一方、基盤温度を室温から873Kまで変えながら製膜した結果、Ti-Ni2元系合金の結果と同様に真空下においては773Kの基盤温度で得られた薄膜が結晶化された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tae-Hyun Nam, Jae-Hoon Kim, Mi-Seon Choi, Yeon-Wook Kim, Hee-Joong Im, Jeung-Sun Ahn, Tadaoki-Mitani: "R phase transformation in equiatomic TiNi alloy ribbon fabricated by rapid solidification"Journal of Materials Science Letters. Vol21, Issue 9. 685-688 (2002)
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[Publications] Tae-Hyun Nam, Jae-Hoon Kim, Mi-Seon Choi, Hee-Woo Lee, Yeon-Wook Kim, Hee-Joong Im, Jeung-Sun Ahn, Tadaoki-Mitani: "Effect of alloy compositions on the R phase transformation in Ti-Ni alloy ribbons fabricated by rapid solidification"Journal of Materials Science Letters. Vol21, Issue 10. 799-801 (2002)