2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロンサイズの惑星間塵(磁硫鉄鉱)の軌道放射光を用いたX線回折法による研究
Project/Area Number |
02J04264
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
日下 勝弘 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所・物質科学第二研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 惑星間塵 / 磁硫鉄鉱 / 放射光 / 白色ラウエ法 / 微小結晶 / 変調構造 |
Research Abstract |
本研究の対象である惑星間塵の中でも磁硫鉄鉱には従来見出されていない多形・多型及び変調構造を示す新鉱物が発見される場合がある。そのような惑星間塵の安定領域を知るためには高温実験が必要である。そのためにPF BL-4B1に設置された極微小結晶・微小領域回折装置に設置可能な高温装置を開発した。この装置を用いて白色ラウエ法により得られた回折強度データから変調構造の解析が可能であることを確かめるために石英を標準試料として選び、α相とβ相の間の狭い温度範囲に存在する変調構造からの衛星反射を0.1℃毎に測定した。現在ラウエパターンより得られた回折強度を基に石英の変調構造の精密化を進めている。 組成分析により磁硫鉄鉱であることが予想される惑星間塵L2005 AG17について放射光白色X線を用いたラウエ法および単色X線を用いた振動写真法による測定を行った。c^*軸に沿って伸びた回折スポットおよび4本の弱い粉末回折線が観測された。指数付けの結果から粉末回折線は磁鉄鉱、回折スポットは六方格子の3Cタイプの磁硫鉄鉱によるものであることが分かった。回折パターンの観察から見いだされた超過消滅則から、いくつかのFe席の空隙分布モデルが得られ、その結晶構造因子と実測値の比較から可能な構造モデルを導いたが、このモデルではトータルな化学組成に問題が生じるため、再度c^*軸に沿って伸びた回折スポットについて詳細な検討を行った。その結果、単斜格子の磁硫鉄鉱が双晶している可能性があることが分かり、現在はこれを考慮に入れた構造解析を行っている。
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