2003 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロンサイズの惑星間塵(磁硫鉄鉱)の軌道放射光を用いたX線回折法による研究
Project/Area Number |
02J04264
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
日下 勝弘 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 惑星間塵 / 磁硫鉄鉱 / 放射光 / 白色ラウエ法 / 微小結晶 / 変調構造 |
Research Abstract |
1年次には開発した高温装置の評価データとして石英のラウエ像を0.1℃毎に測定した。本年次では得られた変調構造領域のデータから衛星反射を除いて変調構造の平均構造を原子のスプリットを考慮に入れて精密化した。R-因子を用いたSignificance testと得られた構造の結晶化学的な考察から可能な構造モデルを導きだし、狭い温度範囲に存在する変調構造の平均構造の変化を明らかにすることができた。 磁硫鉄鉱にみられる変調構造の解析が可能な精度の高い回折強度データを得るために入射X線および検出器に関する基礎データの収集を行った。白色ラウエ法で得られた回折スポットの強度から結晶構造因子を求めるには入射X線のスペクトルと検出器の波長に対する感度特性が必要であるので、標準結晶を用いてこれを測定した。この結果から従来用いていたX線のスペクトルと検出器の波長に対する感度特性のモデル関数(非対称Gaussian)より更に一致の良い関数(非対称Pseudo-Voigt)とそのパラメータを見いだすことができた。またイメージングプレートに蓄積された回折強度は時間に対して減衰することがわかっているのでこの減衰率を標準結晶を用いて測定した。現在、測定データから波長に対する減衰率を求めている。 惑星間塵のような微小な試料でも1つの試料粒が複数の相からなる場合がある。特に磁硫鉄鉱のような様々な多形・多型を示す物質では、それらの回折スポットの多くが重なってしまうことがある。この場合、既存のプログラムで構造解析することができないので、複数の相の構造と存在比を同時に精密化できるプログラムを開発した。
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