2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロンサイズの惑星間塵(磁硫鉄鉱)の軌道放射光を用いたX線回折法による研究
Project/Area Number |
02J04264
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
日下 勝弘 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 白色ラウエ法 / 微小結晶 / 放射光 / 惑星間塵 |
Research Abstract |
2年次には構造精密化の基礎データとして、入射X線のスペクトルと検出器の波長に対する感度特性(IoP)を測定し、従来より一致の良いモデル関数(非対称Pseudo-Voigt)とそのパラメータを見いだした。本年次ではこの新たに得られた関数を用いた解析の有用性を確かめるため、標準試料(Si微小単結晶:約10μm)の回折強度データを収集し、新たなモデル関数を考慮に入れた構造精密化を行った。構造精密化プログラムは新たなモデル関数のパラメータを構造パラメータと同時に適化できるように改良した。従来のモデル関数を用いた構造精密化の結果と比較したところ、R因子は同程度であったが、Siの等方性温度因子は新たな関数を用いた方が文献値に近い値が得られた。ゆえに、新たなモデル関数を用いることでより信頼性の高い結果が得られることが分かった。 2年次にはイメージングプレートに蓄積された回折強度の時間に対する減衰率を測定した。本年次ではこの測定データから強度減衰率の波長依存性を見いだし、この強度減衰を考慮にいれた構造精密化を標準試料の回折強度データを用いて行った。標準試料としてSi単結晶(プレート状)を用い、露光時間の異なる(1min,10min,120min)ラウエ回折パターンを測定した。構造精密化には強度減衰を考慮にいれた計算を行えるプログラムを新たに開発して用いた。いずれのデータも強度減衰を考慮に入れたほうが入れないものと比べてR因子が改善されたが、特に露光時間の短いデータの場合に顕著であった。この結果から露光時間の短いデータの場合には強度減衰を考慮に入れた構造精密化が有効であることが分かった。 一,二年次に測定を行った惑星間塵(磁硫鉄鉱)について以上の二つを考慮に入れた解析を適応することが期待される。
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