2004 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子実験を用いた超対称統一模型におけるフレーバー構造の解明
Project/Area Number |
02J04277
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小嶺 信二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所・理論系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称性 / 世代構造 / B中間子 / Super-Bファクトリー |
Research Abstract |
私は今年度標準模型を超える物理として最も有力視されている超対称標準模型を主に関して研究した。特にこの理論が持つフレーバー構造の性質を理論的に調べて、この構造が現在KEKで行われているB中間子実験でどの様に観測されるかを調べた。超対称性に基づく理論には、標準理論にはない世代混合やCPの破れの構造を持つ可能性があり、且つ現在、あるいは近い将来の加速器実験で検証される可能性がある。よって実験の解析や、検出器の性質をどの様にすれば最も効率的にこの理論が検証できるかを目的として研究した。 超対称標準模型の予言の1つは、標準理論にはない電荷を持つヒッグス粒子の存在である。この電荷を持つヒッグス粒子の効果はB中間子の物理に大きな影響を与える可能性がある。またあるパラメーター領域では量子補正が大きく聞く場合がある。この研究では量子補正も考慮して理論的な計算を行った。 最も注目したのはB中間子がτ粒子を含む終状態に崩壊するモードを調べた。具体的にはB→DτνとB→τνの2つの崩壊モードの相関を調べた。そして超重力模型やゲージメディエーションとなど超対称性を破る模型として有力視されているものが持つフレーバー構造(最小のフレーバーの破れ)の場合には、上の2つの崩壊モードの分岐比には相関があることを示した。そしてこの相関は現在デザインが研究されているSuper-Bファクトリーでの実験で実際に検証できる可能性があることを示した。 また上の2つの崩壊モードと、b→sγ、B→μμとの相関も調べた。そしてb→sγの実験的制限を満たしつつ、LHC-b実験などでB→μμがヒッグス粒子の効果のため標準理論の予言よりも2桁から3桁ほど大きくなる可能性があることを示した。
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Research Products
(1 results)