2002 Fiscal Year Annual Research Report
コライダーにおける電弱対称性の破れの物理の理論的研究
Project/Area Number |
02J04281
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
淺川 恵理 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | リニアコライダー / カルツァークライン重力子 / 余次元空間 / 光子-光子コライダー / ヒッグス粒子 |
Research Abstract |
1、現在、計画中の電子-陽電子リニアコライダーにおいて観測できる物理として、電子陽電子対から生成される「見えないもの」のスピンを測定する手法を提案し、その手法の有用性を示した。「見えないもの」として、近年盛んに研究されている「我々の住む4次元時空間だけでなくコンパクト化された余次元空間も伝播する重力子のカルツァークライン励起状態」を設定した。このカルツァークライン重力子はスピン2を持ち、観測からスピンが2であるものが生成されていることが分かれば、余次元の物理の存在を強く示唆する証拠となり得る。我々は「見えないもの」と伴に生成される光子の角度分布から「見えないもの」のスピンに関する情報が得られる点に着目し、この過程の微分断面積をフーリエ展開して得られるフーリエ係数の値から、スピン2粒子生成過程とその他の過程が区別できることを示した。 2、電子-陽電子リニアコライダーのオプションとして計画されている光子-光子コライダーでの、重いヒッグス粒子生成に関する研究を行った。光子-光子コライダーでは「電荷と質量を持つ粒子」の輻射補正を介してヒッグス粒子が生成される。従って、光子-光子コライダーにおけるヒッグス生成断面積は、どのような「電荷と質量を持つ粒子」が存在するかに依存する。「電荷と質量を持つ粒子」の効果は、それが極めて重い粒子であっても有限であるので、現在探索可能なエネルギーよりもはるかに重い粒子の存在がこのヒッグス生成断面積に現れる可能性がある。我々は、生成されたヒッグス粒子がトップクォーク対に崩壊する過程を用いて、この過程のバックグラウンド過程との干渉効果から「電荷と質量を持つ粒子」の情報を得る手法を提案した。
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Research Products
(1 results)