2002 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における武器消費形態の変質からみた階級分化過程の研究
Project/Area Number |
02J04326
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺前 直人 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弥生時代 / 石器 / 武器 / 階級 |
Research Abstract |
本年は、西日本および朝鮮半島の石製武器の資料集成と分析を進めた。具体的な資料調査先としては、佐賀県吉野ケ里遺跡、香川県鴨部川田遺跡、岡山県南方遺跡、奈良県唐古・鍵遺跡、京都府市田斉当坊遺跡である。とくに唐古・鍵遺跡については8月から11月の期間、現地での発掘作業に参加し、実際の出土状況を含めた検討を進めた。また、朝鮮半島出土の石製武器についても検討を進め、12月には現地にて資料実見を行った。分析の方法としては、共伴遺物から帰属時期を求めたのち、形態の類似性から、それぞれの地域間の影響関係を検討した。また、石材や製作技法の検討を行い、特定の生産地の製品がどのような範囲に分布、流通しているかを検討した。 以上の検討の結果、日本列島では、朝鮮半島に由来する石製武器が弥生時代開始期に出現するが、その定着度は低いこと、むしろ弥生時代中期以降の金属製武器の出現期において石製武器の発達がみられることがあきらかとなった。弥生時代中期の石製武器の発達期において、金属製武器との関係がどのようなものであったかをあきらかにするために、次年度以降は金属製武器の検討も進める予定である。 さらに香川県鴨部川田遺跡、岡山県南方遺跡などの例から、特定の産地でしか獲得できない石材を用いた石製武器が、中部瀬戸内地域の広い範囲で使用されていること、その石材流通が石庖丁などの生産具と同様であることなどが、西日本地域との違いとして指摘できた。 その成果の一端は、「武器」『考古資料大観』9(小学館刊行)にまとめた。
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Research Products
(1 results)