2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J04359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
頴原 善徳 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 美濃部達吉 / 憲法 / 国際法と国内法 / 戦時国際法 / 日露戦争 / 海戦法規 / 万国平和会議 / ロンドン宣言 |
Research Abstract |
本年度は、美濃部達吉『憲法講話』復刻版の解説と日本国憲法に関する論文(4月刊行予定)を執筆し、口頭報告を1本おこなったほかは、史料収集とその整理・分析に専念した。口頭報告は、日露戦争と戦時国際法に関するものであり、近代東アジア史学会の例会にて報告した。近代日本における戦時国際法の歴史に関する研究は、十分な蓄積があるとはいえない。主に当時の国際法学者の学説の紹介か中立法規の歴史的発展との関係で言及がなされてきた程度である。そこで、本報告では、海戦法規に焦点をしぼり日露戦争のさいにいかなる戦時国際法の問題があったか、を捕獲審検所の書類や外務省記録などを使って具体的に明らかにした。具体的な論点とは、(1)開戦の時期をめぐる問題、(2)韓国を中立国とみなすか否かの問題、(3)敵性をめぐる問題、(4)国際法と国内法の関係をめぐる問題である。さらに、日露戦後ハーグにおいては第二回万国平和会議が、ロンドンにおいて海戦法規に関する国際会議が開催されたが、これらの国際会議に日露戦争における日本の経験がどのように影響したのかを探った。日露戦後、日本においては、海上捕獲事件調査会が設置され、日露戦時中に制定された関連法規の検討と海戦法規に関する諸外国の先例に関する調査がなされた。そこでなされた議論は、日露戦争のさいに発生した問題を受けてのものであった。第二回万国平和会議を経て列強は海戦法規に関するロンドン会議を開くが、日本側は日露戦時中の経験と海上捕獲事件調査会における検討をふまえて会議に参列し、みずからの見解を主張した。この口頭報告の成果については、次年度論文化する予定である。
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Research Products
(1 results)