2004 Fiscal Year Annual Research Report
豚伝染性胃腸炎ウイルス感染防御への組織指向性偽ウイルス粒子の応用
Project/Area Number |
02J04393
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
中村 一哉 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 豚伝染性胃腸炎ウイルス / バキュロウイルス / S蛋白 / ウイルス様粒子 / 組織指向性 |
Research Abstract |
豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)は感染個体に致死性下痢疾患を引き起こし、哺乳豚においては、ほぼ100%の致死率に達するなど、畜産業界において最も重要な病原体の一つである。しかし現時点ではTGEV感染防御に有効なワクチンは存在せず、その開発が望まれている。本研究では外来遺伝子の高発現系として広く用いられているバキュロウイルス発現系によりTGEVのウイルス様粒子を作出し、その組織指向性を利用して感染防御に重要な局所免疫誘導系の確立を目標として以下のような実験を行ってきた。TGEVの組織指向性決定には、エンビロープ蛋白の主要構成成分の一つであるS蛋白が重要であるとされている。そこでS遺伝子をクローニング、昆虫細胞発現ベクターに組み込み、S蛋白を発現する昆虫細胞の作製を行った。しかし昆虫細胞から発現した蛋白はブタ細胞への感染能付与効果が乏しく、これを改善するために、高度な糖鎖付加修飾が期待できる哺乳動物細胞における発現を試みた。プロモーター下流にS蛋白ならびにTGEV粒子形成必須蛋白であるM、E蛋白それぞれの遺伝子をつなげた発現ユニットを構築し、これらを組み込んだ各種バキュロウイルスを作出した。この組み換えウイルスを哺乳動物細胞に感染させることで、蛋白発現の確認を行った。続いて各種組み換えバキュロウイルスを同時感染させ、発現したTGEV蛋白によるウイルス様粒子(VLP)を形成させるため、至適なウイルス接種量を検討した。結果、細胞上清中にTGEV蛋白が検出されたため、粒子形成が行われていることが推察されたが、その量は微少であった。作出したVLPを各種実験に用いるに際しては、さらに高レベルでの粒子形成が必要であると考えられ、現在、細胞内での各種ウイルス蛋白の発現効率の改善を行っている。またこの系で作出されたVLPのブタ細胞への吸着能の検討も行っていく予定である。
|
Research Products
(1 results)