2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J04485
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 斉 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 暗黒物質 / WIMPs / ニュートリノ / CaF_2シンチレータ / 原子核反跳 / 低バックグラウンド / 地下実験室 / 二重ベータ崩壊 |
Research Abstract |
宇宙の構成物質の大部分は光を放出しない暗黒物質で構成されていることが、近年の観測から確実視されており、その暗黒物質の候補としてWIMPs(Weakly Interacting Massive Particles)が有力視されている。 本研究では、フッ化カルシウムシンチレーション検出器(以下CaF_2検出器)を使用し、検出器中の^<19>Fと暗黒物質の弾性散乱による反跳エネルギーの検出を通して探索を行うことを目的としている。一般的にシンチレーションを利用する場合、ガンマ線などで較正した電子換算エネルギーと原子核による反跳エネルギーの間には消光係数を介した関係があり、実際に観測される反跳エネルギーを知るためには消光係数を測定することが不可欠である。 今年度の研究では、暗黒物質と^<19>F原子核の散乱による反跳エネルギーを較正するため、単色中性子ビームを使用して^<19>F原子核のCaF_2検出器中での消光係数を測定した。検出器は、発光材で活性化していないCaF_2検出器(以下CaF_2(pure))を使用し、反跳エネルギー100keV(実際にWIMPsとの散乱で得られる反跳エネルギーの領域)付近で14%程度であり、エネルギーが減少するに従って大きくなることがわかった。この結果は一般的に使用されるユーロピウム活性化CaF_2検出器(CaF_2(Eu))と同程度の値である。これによりCaF_2(pure)検出器が暗黒物質直接探索において有力な検出器であることを証明することに成功した。 また、暗黒物質探索においてはバックグラウンドとなるガンマ線と原子核反跳の事象の弁別能力の向上が、バックグラウンドの低減化を実現し、感度の向上に直接結びつく。重イオンビームならび大強度ガンマ線源を利用してCaF_2(pure)シンチレーション検出器の発光波長の粒子依存性を調べ、粒子によって発光波長に大きな違いがあることを確かめた。
|