2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J04503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松川 淑恵 (嶋内 淑恵) 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視細胞 / 桿体 / 錐体 / 遺伝子 / 脊椎動物 |
Research Abstract |
桿体・錐体それぞれで特異的に発現する遺伝子を探索する目的で、cDNAのサブトラクションを計画している。桿体由来のRNAは充分量得ている。一方、錐体からのRNAは抽出できているものの、錐体細胞マーカーの存在が確認できなかった。今後、より多くの錐体サンプルからRNAを抽出し、サブトラクションを行う予定である。 近年、当研究室では錐体での光応答の素早い収束に着目し、解析を行っている。光刺激伝達カスケードの根元である視物質は、リン酸化を受けることにより不活性化される。錐体では桿体に比べて、このリン酸化反応の効率が20倍高いことが明らかにされた。魚類では、視物質のキナーゼとして、桿体でGRK1、錐体でGRK7が働くことが知られている。このキナーゼのサブタイプの違いが、視物質のリン酸化効率の違いにどのように反映されているのか解析を行う目的で、コイ網膜からGRK cDNAの単離を行った。 その結果、GRK7相同遺伝子・GKR1相同遺伝子ともに複数種のCDNAクローンが得られた。分子系統樹による解析の結果、GRK7相同遺伝子は大きく分けて1種類、GRK1相同遺伝子は2種類のものがコイ網膜で発現していることがわかった。これらの遺伝子の発現場所をin situ hybridizationにより調べた結果、GRK7は、既に知られている通り錐体に発現していたが、GRK1の2種類の内、一方は桿体で発現しているものの、他方は錐体で発現していることを示すデータを得た。共同研究者らによる免疫組織化学法を用いた解析で、ゼブラフィッシュでも2種類のGRK1相同遺伝子が存在し、同様の局在パターンを示すことが明らかにされている。 今後は、GRK7と錐体で発現するGRK1が、同じ細胞で発現しているのか、錐体の種類ごとに違った分布を示すのか、また、これらのタンパク質の活性がどのように異なっているのか興味深い。
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