2002 Fiscal Year Annual Research Report
Drug Delivery System(DDS)を用いた新規粘膜ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
02J04538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國澤 純 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Drug Delivery System / 抗原プロセッシング / 抗原提示 / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
新興・再興感染症が問題となっている昨今、遺伝子やペプチドを抗原として用いるワクチン療法が注目されている。免疫誘導能に優れたワクチンを創製するためには、細胞内における抗原プロセッシング機構が解明されなければいけない。そのためには途中で生じる抗原中間体を同定する必要があるが、これまでのところこの中間体を同定する方法は確立されていない。抗原を同定するために頻用される技術の一つとして、抗原/MHC複合体に特異的に反応するT細胞ハイブリドーマ法がある。この方法は最終エピトープに対しては極めて高い反応性を示すが、その末端にわずかひとつのアミノ酸でも結合するとその反応性は著しく減少する。この反応性の減少がエピトープ末端にアミノ酸が結合している中間体の同定を困難にしている。これらの問題点を解決するために研究代表者らは生化学的な方法とT細胞ハイブリドーマ法を併せた抗原中間体同定法を開発した。本方法ではモデル抗原にニワトリ卵白アルブミン(OVA)を用いた。エピトープに含まれるリジン(K)をヒスチジン(H)に変更し、エピトープのN末端とC末端のグルタミン酸(E)とスレオニン(T)をそれぞれリジン(K)に置換した変異型OVAを作製した。この3カ所の変異を導入することによりトリプシンとカルボキシペプチダーゼBの処理で変異型OVAから生じた中間体からエピトープが遊離し、特異的なT細胞ハイブリドーマと反応するようになった。さらに逆相HPLCを組み合わせることでそれぞれの中間体を個別に解析することも可能となった。 以上、研究代表者は従来のT細胞ハイブリドーマ法に生化学的な手法を組み合わせることで、抗原プロセッシング過程で生じる抗原中間体の分離・同定する技術を解析した。現在はこれらの技術を応用し、抗原提示機構、特に抗原中間体の生成経路の解明を試みている。
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[Publications] Kunisawa J: "Lack of antigen-specific immune responses in anti-interleukin-7 receptor α chain antibody-treated Peyer's patch-null mice following intestinal immunization with microencapsulated antigen"Eur. J. Immunol. 32(8). 2347-2355 (2002)
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[Publications] Enose Y: "Protection by intranasal immunization of a nef-deleted, nonpathogenic SHIV against intravaginal challenge with a heterologous pathogenic SHIV"Virology. 298(2). 3086-316 (2002)
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[Publications] Sakaue G: "HIV Mucosal Vaccine : Nasal Immunization with gp160-encapsulated Hemagglutinating Virus of Japan-liposome induces antigen-specific CTLs and neutralizing antibody responses"J. Immunol.. 170(1). 495-502 (2003)
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[Publications] Kunisawa J: "抗原の性状と抗体産生におけるPeyer板の役割"臨床免疫. 37(4). 387-391 (2002)