2002 Fiscal Year Annual Research Report
多励起子系の非線形応答と巨視的量子現象のボゾン化法による研究
Project/Area Number |
02J04551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 暁 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体量子井戸 / 励起子 / ボゾン化 / 四光波混合 |
Research Abstract |
半導体の1s励起子共鳴近傍における非線形光学応答の理解には、励起子間相互作用の波数依存性、スピン依存性、また励起子と光との非線形結合に関する波数依存性、スピン依存性を調べる必要がある。これに対し、いままで行われてこなかったエネルギーの高い励起子内部自由度(2s、2px、2py)まで拡張した励起子ボゾン化法を用い、ボゾン間相互作用とボゾン-光非線形結合を重いホールの極限において導出することに成功した。さらに、これらを用いて2励起子状態におけるエネルギー固有状態を求め、励起子間の断熱ポテンシャルや1励起子状態から2励起子状態への光による遷移振幅を計算した。これにより励起子間に働く弱い引力の大きさを見積もることができ、またボゾンと光の非線形結合が1s励起子のみを考慮した場合と比べ定性的に変化することも確かめることが出来た。 さらに上記の結果を用いて、半導体量子井戸の励起子共鳴近傍の四光波混合信号を解析した。この時、入射レーザーパルスの偏光依存性、パルス幅、励起子の均一幅などの考慮も行った。特に入射光偏光自由度については、励起子の高いエネルギー内部自由度が重要となるco-circularのについての解析を重点的に行った。その結果、励起子の均一幅が励起子間に働く弱い引力と同等程度かそれ以下になると、時間積分四光波混合信号に対して全ての入射光遅延時間に対しての信号強度の増大、また負の入射光遅延時間におけるsteep rise信号の緩和が、さらに時間分解四光波混合信号に対しては、より遅い時間領域へのピークシフトが現れることを数値計算によって得ることが出来た。さらに解析的な手法によりこのピークシフトが励起子間の弱い引力によって支配されていることを確かめることも出来た。
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Research Products
(1 results)