2002 Fiscal Year Annual Research Report
「周辺」共同体からメキシコ農地改革の歴史記述を再考する
Project/Area Number |
02J04571
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 雅彦 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メキシコ / 農地改革 / 文化人類学 / 民族誌 |
Research Abstract |
今年度は、研究の基礎となる一次資料の調査と収集をメキシコでおこない、そこで得られた資料の整理と分析を日本でおこなった。 メキシコでは、首都メキシコ・シティに滞在し、同地にある国立総合古文書館(AGN)、そして農地改革総合文書館(AGA)において調査をおこなった。この調査の過程で、国土歴史文書館(AHTN)が保管している資料も本研究にとって有益であることが判明した。そのため同文書館での調査を加えた。さらにミチョアカン州の共同体ティリンダロで古老への聞き取り調査をおこなった。メキシコで出版・公表された農地改革史に関する最新研究は、首都および州都もレーリアで収集した。 次に、特に各文書館での調査内容を記す。AGNでは、1930年代に農地改革派・反農地改革派・共同体に駐屯していた軍の指揮官らが作成し、大統領府に送った報告・陳情を中心にして資料を閲読した。AGAでは、共同体ティリンダロの土地権利・登録に関する資料を調査した。AHTNでは研究対象地域の土地問題に関する資料の調査をおこなった。同文書館では複写機を使用できないため、メキシコ農地改革省から許可を得て、パソコンに資料内容を打ち込んだ。 今年度の調査・分析の中心は、現在の中央政府が所有・保管する資料であった。こうした資料からでも、地方の各農地改革派の動きは一枚岩的ではなく、多様であったことが浮かび上がる。そこから正統的な農地改革史が掬い取らない周辺共同体の動きをとらえることができた。来年度は、今年度の研究成果をさらにローカルな資料で補足するために、村役場など地方政府機関が所有する資料の調査を重点的におこなう。
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