2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニ硼化マグネシウム及び多層型銅酸化物高温超伝導体の超伝導発現機構のNMRによる研究
Project/Area Number |
02J04826
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小手川 恒 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 二硼化マグネシウム / 多層型高温超伝導体 |
Research Abstract |
40Kと高い超伝導転移温度(T_c)を持つ二硼化マグネシウム(MgB_2)の超伝導発現機構を明らかにするため、AlをドープしたMg_<1-x>Al_xB_2のNMR(核磁気共鳴法)測定を行った。Alの置換量をx=0,0.05,0.07,0.1と変化させた時、核磁気緩和率は徐々に減少し、Alドープによってフェルミ面の状態密度が減少していることが分かった。この結果は理論的予想と一致する。またこのときT_cも徐々に減少することからフェルミ面の状態密度とT_cが密接に関係していることがわかり両者の関係を得ることが出来た。またその関係を多くのBCS超伝導体に適応することができるMcMillan方程式に当てはめることによって、約700K程度の高い周波数のフォノンが電子と結合定数λ〜0.87程度で強く結合した結果、約40Kの高いT_cが得られていると結論付けられた。従来のBCS超伝導体は約300K程度の低いエネルギーの、いわゆるデバイフォノンを媒介にして超伝導を発現させていたが、このMgB_2は高いエネルギーの光学的フォノンによって超伝導が引き起こされていることを明らかにした。 また多層型銅酸化物高温超伝導体HgBa_2Ca_4Cu_5O_yにおいても5枚のCuO_2面にうち外側の2枚のCuO_2面にはキャリアーとなるホールが適度に注入されており約108Kで超伝導を発現させるのに対し、内側の3枚のCuO_2面は非常にホール濃度が小さく約60Kで反強磁性磁気秩序を引き起こすことがNMR測定から明らかになった。この系は単位胞内で超伝導と磁性の共存が実現しており、今後それらの間にいかなる相互作用が働いているかを研究することが出来る。 さらにPr系で初めての重い電子系超伝導体PrOs_4Sb_<12>のNMR測定も行った。その結果、この系の超伝導がBCS機構でもなく従来の重い電子系とも異なる全く新しいメカニズムで発現していることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kotegawa: "Evidence for high-frequency phonon mediated S-wave superconductivity ^<11>B-NMR study of Al-doped MgB_2"Physical Review B. 66. 064516 (2002)
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[Publications] H.Kotegawa: "Microscopic coexistence of antiferromagnetism and superconductivity in HgBa_2Ca_4Cu_5O_y : Cu-NMR study"Physica C. 388-389. 237-238 (2003)
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[Publications] H.Kotegawa: "Evidence for Unconventional Strong-Coupling Superconductivity in PrOs_4Sb_<12> : An Sb Nuclear Quadrupole Resonance Study"Physical Review Letters. 90. 027001 (2003)
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[Publications] H.Kotegawa: "Unusual Superconductivity in Skutterudite Compound PrOs_4Sb_<12>"Acta Physica Polonica B. 34. 1003-1006 (2003)