2003 Fiscal Year Annual Research Report
歩行運動の動的安定性制御に関する数理的および中枢神経機構論的研究
Project/Area Number |
02J04854
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淺井 義之 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中枢パターン生成器 / 非線形力学系 / 結合振動子モデル / パーキンソン病 / 肢間協調運動障害 |
Research Abstract |
歩行運動中の交番的な筋活動パターンの生成には中枢パターン生成器(CPG)と呼ばれる神経回路の活動パターンが関与していると考えられている.我々は,互いに結合した複数の非線形振動子から構成される非線形力学系を脊髄CPGのモデルとして用い,高次中枢で生成されCPGに入力する脊髄下行信号によるCPGの制御機構を理解することを目的として研究を進めてきた.本研究では,パーキンソン病(PD)患者が呈する症状として広く知られているリズム運動障害に着目した.PDは主に脳内の病変に起因すると考えられており脊髄レベルの神経回路は基本的に健常者と同一視できることから,脊髄CPGの動作機序を理解する上で重要な知見を得られることが期待できるからである.我々は先行研究においてこのCPGモデルがPD患者における障害された下肢間協調を非常によく再現できることを確認した.本研究では,このCPGモデルのダイナミクスと臨床計測データとを比較することにより,PD患者において観測される肢間協調性の乱れを伴う運動疾患が動的疾患として捉えることができること,および,その生成メカニズムを脊髄神経のダイナミクスにおける分岐現象と関連付けて考察することができる可能性を指摘しかつ議論した.ここで,動的疾患とは,正常な生体システムが適正範囲外の入力を受けることにより異常な振る舞いを示す現象のことを意味する.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuo Abe: "Classification lower limb dynamics in Parkinson's disease"Brain Research Bulletin. 61. 219-226 (2003)
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[Publications] Yoshiyuki Asai: "Classification of dynamics of a model of motor coordination and comparison with Parkinson's disease data"Bio Systems. 71. 11-21 (2003)
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[Publications] Yoshimi Matsuo: "Intralimb incoordination in patients with ataxia"Neuro Report. 14. 2057-2059 (2003)