2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属化合物のバルク電子状態と磁性に関する高エネルギー分光
Project/Area Number |
02J04861
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 篤志 大阪大学, 基礎工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光電子分光 / バルク / 近藤効果 / プラセオジウム(Pr) / 充填スクッテルダイト / 電子状態 / 放射光 / 重い電子系 |
Research Abstract |
Pr化合物ではCe化合物と異なり4f電子の振る舞いが局在的であると考えられてきた.しかし、最近純良単結晶が育成可能になった充填スクッテルダイト化合物PrFe_4P_<12>では4f電子と伝導電子との混成によって4f電子の有効質量が重くなっていると考えられる.PrFe_4P_<12>及びその他のPr化合物について詳細なバルク電子状態を明らかにすることを目的に,高輝度放射光を用いて高分解能バルク敏感光電子分光測定を行った. 超高真空中で単結晶を破断して得られたPrFe_4P_<12>のPr3d-4f共鳴光電子スペクトルでは,他のPr化合物のスペクトルと比べて,Fermi準位直下の強度が著しく強い.これはCeRu_2Si_2やYbInCu_4など他の物質でも見られる近藤共鳴ピーク(またはその裾)であると解釈される.このような近藤共鳴ピークが観測されたことは,観測したPr3d-4f共鳴光電子スペクトルが4f電子の局在性が増加してしまう表面敏感なPr4d-4f共鳴光電子分光測定では得られなかったバルク特有の電子状態を反映していることを示唆している.すなわち,バルク敏感な測定を行うことによって,Pr化合物としては世界で初めて近藤共鳴ピークを観測することに成功した.さらに,このスペクトルの温度変化を調べ,温度変化による近藤共鳴ピーク強度の変化の様子から,これをYbInCu_4などYb系で見られる近藤共鳴ピークそのものであると結論付けた.一連の結果は昨夏強相関電子系の国際会議(SCES2002)にて発表し,論文執筆・投稿を行った.
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[Publications] A.Yamasaki: "Heavy Fermion Behavior of Pr 4f Electrons in Filled Skutterudites Studied by Bulk-Sensitive Photoemission"Acta Phys.Polonica B. 34. 1035-1038 (2003)
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[Publications] A.Yamasaki: "Angle-resolved photoemission spectroscopy and magnetic circular dichroism in Fe-intercalated TiS_2"Surf.Rev.Lett.. 9. 961-966 (2002)
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[Publications] A.Yamasaki: "Magnetic circular dichroism in the soft X-ray absorption spectra of Co-based Heusler alloys"Surf.Rev.Lett.. 9. 955-960 (2002)