2002 Fiscal Year Annual Research Report
地球内部物質学実験のための高圧EXAFSによる圧力スケールの考察
Project/Area Number |
02J04962
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥部 真樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | EXAFS / 高温高圧 / 金 / 圧スケール / 非調和性 / 熱膨張係数 |
Research Abstract |
本研究では、高圧実験の圧指標として広く用いられるがその妥当性については議論の多い、金の非調和生の効果を検討し、過去の金スケールの妥当性の検討及びその補正、そして新たな金スケールの構築を目的としてEXAFS法を用いた実験・解析を行った。実験はSPring-8のBL01B1とBL14B1にて行った。L_3端において常圧〜14GPa、300〜1000Kの温度領域でEXAFS測定を行った。圧力発生装置としてはBL01B1にてLarge-Volume 1軸圧縮プレス(Paris-Edinburgh Press)を、BL14B1にてマルチアンビルプレス(SMAP)を用いた。金のEXAFS測定を高圧・高温その場観察によって行い、高圧下におけるEXAFS Debye-Waller factorの温度変化から、各圧力下での金の非調和有効2体間ポテンシャルを決定した。またこれらのパラメータを用いることで線熱膨張係数を計算し、熱膨張率の高圧下における温度依存性を初めて実験により示すことに成功した。これにより金の熱的特性を定量的に議論することが可能となったため、本研究のEXAFSによる新スケールと既存のスケールでの非調和性の見積もり量の比較を行うことができた。その結果、現在最も広く使われているAnderson et al.(1988)の金スケールでは非調和性の見積もりが小さく、指示圧力を小さく算出する傾向があることが分かった。この傾向は高い温度圧力領域が大きくなり、このスケールではXAFSによる新スケールと比べると20Pa、2000Kにおいてその差は3GPaにも及び、これより高圧高温域ではこの差は大きくなることが予測される。EXAFS法によって示される金スケールは実験データに基づき算出された物理係数から求められるため、既存のスケールの影響が非常に少ないという利点があり、この手法による広域の圧スケールの実現が今後必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Maki Okube: "Anharmonic effective pair potentials of gold under high pressure and high temperature"Solid State Communications. 121. 235-239 (2002)
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[Publications] Maki Okube: "Anharmonicity of gold under high-pressure and high-tenmperature"Journal of Physics : Condensed matter. 14. 11511-11515 (2002)