2002 Fiscal Year Annual Research Report
氷天体における化学反応の解明:アモルファス氷のESRと光物性
Project/Area Number |
02J04973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
法澤 公寛 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電子スピン共鳴 / アモルファス氷 / 吸着 / CO / ラジカル / 分子雲 / 星間物質 / 化学進化 |
Research Abstract |
分子雲など星間空間での分子の化学進化の基礎過程を調べるため、アモルファス氷表面に吸着した分子の光化学反応を電子スピン共鳴(ESR)法を用いて調べた。H2O、CO、CH4、NH3などを含む氷に10〜77Kで紫外線を照射して生成した有機物(アミノ酸など)の分析結果の研究はこれまでにも多数あるが、系が複雑なので反応の素過程は殆ど分かっていないのが現状である。そこで本年度の研究では星間空間にありふれたCO-H2Oの「単純な系」を採用し、反応中間体である「ラジカルに注目」してESRによる解析を試み、反応素過程を明らかにすることを目標として実験を行った。 0.01Paの真空中に設置した77Kの銅基板に水蒸気を吹きつけアモルファス氷(a-H2O)の薄膜を作成後、COガスを吸着させ、低圧水銀ランプ(波長254nm)で紫外線を照射し、ESRスペクトルを測定した。反応素過程(化学反応式)を明らかにするため、COの吸着量を変化させ、HCOとHO2ラジカルの生成量の変化を紫外線照射の時間を追って測定した。 CO-H2O系の光化学反応について、ポーラスなH2O表面に吸着したCO分子と、H2O結晶中のHラジカルとOHラジカルの拡散速度を考慮したモデルをたて、実験結果を説明できることが分かった。これにより、CO-H2Oの単純な系での光化学反応の素過程が明らかとなった。
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