2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J04977
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勢田 明大 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希ガス / 同位体比 / マントル |
Research Abstract |
地球内部からの希ガスの脱ガスモデルを構築する上で、大陸・海洋地殻の形成過程および地殻における希ガスの親元素(U、Th、Kなど)のマクロな挙動を把握することは必要不可欠である。 我々の研究グループではこれら希ガスの親元素に関して、現在観測される希ガスの同位体比を再現するため、いくつかの独自の仮定を導入している。そこで今年度はこれら希ガスの親元素に関する仮定を評価・補正し、さらに地殻の形成過程に関する希ガス以外の同位体比系の知見を取り入れるため、希ガスを含まない同位体比系で地球化学的に十分なデータが蓄積されているSr-RbおよびSm-Ndの各系について、マントル中の各化学的リザーバにおける濃度および同位体比の時間進化のシミュレーションを行った。 計算の結果、希ガスと直接関係の無い同位体比系においても我々の採用するモデルの手法を用いて、現在の同位体比を再現可能であることがわかった。このことは、希ガスの親元素に関する仮定が実際のマントル中での元素移動と矛盾しないことを示している。さらに、地球形成初期の激しい物質移動を仮定したにもかかわらず、大陸地殻の形成によって不適合元素がマントルから大規模に抽出されるため、マントル内の同位体比の進化曲線が閉鎖系で予測された結果および実際の測定結果に近くなることが示された。この計算結果も、我々のモデルの手法が実際のマントルでの物質移動を再現できていることを支持している(勢田ほか、2002年度日本質量分析学会同位体比部会)。現在は、希ガスに関して現行のHe-U-Th系、Ar-K系に加えてXe-I-U-Pu系の同位体比進化計算に取り組んでいる。
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