2003 Fiscal Year Annual Research Report
cAMP/PKA系による遺伝子発現の空間及び時間調節機構の解明
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02J05014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 芳子 (加藤 芳子) 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核内移行シグナル(NLS) / 核外移行シグナル(NES) / 核-細胞質間移動 |
Research Abstract |
これまで代表研究者らの研究室では、高塩食を投与したラットの副腎において特異的に誘導される塩誘導性キナーゼ(SIK)は副腎皮質を副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)で刺激すると誘導され,ステロイド産生の律速酵素であるコレステロール側鎖切断酵素CYP11Aの遺伝子発現をプロモーター領域のCyclic AMP-responsive element (CRE)に結合するタンパク質CREBを介して抑制することを明らかにした(J.Biol.Chem. 277.15629-15637 2002)。さらに、昨年度の研究においてSIKのCRE調節機構には、その細胞内局在が深く関係することを示し(J.Biol.Chem. 2002. 42334-42343)、さらに転写抑制機構との相関について研究を進め転写抑制に関わる領域を探索したところ、SIK1のNLSは細胞内局在だけでなく、転写抑制効果に影響を及ぼしていることがわかった。また核内のSIKだけが転写抑制機能を持つのではなく、細胞質のSIKも同様の作用を示すことを明らかとなり、SIKの単純な局在ではなく、核-細胞質問移動によって転写抑制作用が調節されていることが示唆された。この結果は2003年4月の「Workshop on Molecular Steroidogenesis」(イギリス)にて発表した。 またSIKファミリー内の詳細な解析を行い、転写抑制能や酵素活性の発現などについて比較検討を行った。SIKは大きく分けて3種類のクローンが同定されており、同じファミリー間で局在や活性制御の違いなど興味深い結果が得られている。これらの結果は今年度の日本生化学学会(横浜)にて報告する予定である。現在は引き続き,SIKファミリーの下流の因子の同定を試みると共にSIK自身の酵素活性制御機構の解明に取り組んでいる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岡本 光弘: "Salt-inducible kinase in steroidogenesis and adipogenesis."Trends In Endocrinology and Metabolism. 1. 21-26 (2004)
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[Publications] 竹森 洋: "Salt-inducible kinase-mediated regulation of steroidogenesis at the early stage of ACTH-stimulation."The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. 85. 397-400 (2003)
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[Publications] 堀家 なな緒: "Adipose-specific expression, phosphorylation of Ser794 in insulin receptor substrate-1, and activation in diabetic animals of salt-inducible kinase-2."Journal of Biological Chemistry. 278・20. 18440-18447 (2003)